第16話

過去
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2026/04/01 23:21 更新
それは、科学王国の宴会で宴も酣、夜が深く深く更けていく頃、それぞれの懐かしい過去を語り合っている頃だった。
あさぎりゲン
カナデちゃんはさぁ、何か、懐かしいこととかないの?
カナデ
懐かしいこと、ねぇ
カナデ
こういう場合はさ、身の上話をするものなの?
あさぎりゲン
そんなんでもいいよ〜。カナデちゃんの過去を知っているのって、千空ちゃんくらいじゃない?
石神千空
いや、俺も知らねぇ。興味なかったんでな。
あさぎりゲン
千空ちゃんらしいね
カナデ
私の身の上話?
あさぎりゲン
うん
カナデ
・・・いいよ。
カナデ
私のお父さんは、典型的なクズでね、機嫌がいい日も悪い日も、浴びるように酒をかっ食らう人だった。
お父さんがそんなんだからね、お母さんはその相手を全て1人でしていたんだよ。だからそのストレスをそのまんま私にぶつけて来る人で、まぁ言ってしまえばクソみたいな家庭だった。
カナデ
家や学校での私の武器は、冗談抜きに、優しさと頭脳だけだった。
カナデ
私がどれだけ風邪を引いていようが、お父さんがお腹すいたと言えば、食事を作って笑顔を作った。親の不機嫌の方が圧倒的に怖かった。
カナデ
学校では、自分の考えをとにかく消した。そしたらね、
「自分の考えがない。」「空っぽのロボット」って言われ始めた。その瞬間、何度も何度も繰り返してきた謝罪と機嫌取りの定型文が頭を高速で回ったんだ。
カナデ
ある日、お父さんが機嫌の悪い日に、お前の髪の色は気味悪い。と言ってハサミで髪をズタズタに切り裂かれた。その髪のまま学校へ行ったら、何その髪型と嘲笑われた。
声が出なかった。地獄の煮凝りのような、惨たらし過ぎる過去だ。
カナデ
そんな時、私は千空に救われた。
石神千空
はぁ?
カナデ
前、あったでしょ。『家族、友達、恋人、1人しか助けられないなら、誰を助けますか』っていう心理テスト。
石神千空
あぁ
あさぎりゲン
え、あれ!?
カナデ
私はそれを聞いた時、正直足がすくんだ。誰かを助けても、他の誰かには一生軽蔑される。そんな中、当たり前のように、全員助けると答えた人が、とても強いと思った。後で話して見れば、私の見た目や家で培われた気を使いすぎる癖も何処吹く風だった。
カナデ
それきっかけで、私はあの家から離れられた。千空のお陰で。石化から起きてみれば、私が憧れたあの人は、世界の中心になっていた。そして、私をなんの疑いもなく受け入れてくれた。
あさぎりゲン
ねぇ、カナデちゃん。
カナデ
なに?
あさぎりゲン
なんで、そんなにキツイ過去を持ちながら、俺たちにあんなに優しくしてたの?
カナデ
貴方たちに、救われたから。
カナデ
人を見た目で判断しない。性格を否定しない。その当たり前のことを当たり前にやってのけるあなたたちが、神様のように見えた。
あさぎりゲン
ッ……
あさぎりゲン
(やっと繋がった。この子の溢れんばかりの優しさは、そうしないと生きていけない環境で育ったんだ。)
スイカ
大丈夫なんだよ! もう、カナデに嫌なことしてくる人、ここにはいないんだよ!
コハク
ハ!、その通りだな。
カナデ
ッ〜!ありがと!
これで終わりです
それでは👋

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