第18話

となりで食べるごはん
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2025/05/23 11:33 更新
今日は学校がお休み。





制服を着なくていい日は、少しだけ時間に余裕ができて、朝からちょっと丁寧にお料理をしてみた。







いつも通り朝ごはんを地下室に持って行って、私はリビングでみんなと食事をする。





「...美味かった。」





食器を取りに行った時にそう言って貰えるのが何より嬉しかった。




あっという間に時刻は12時、三門市内にお昼のBGMが流れる。





今日のお昼はもう既に決めていた。


 
親子丼にしよう。




ふんわり卵に、甘辛く煮込んだ鶏肉と玉ねぎ。




仕上げに三つ葉をのせて、蓋をして、湯気が立ち上る。







(今日は、一緒に食べられたらいいな……)







そう思いながら、私はお盆を両手に持って、地下へと向かった。











「ヒュースさん、こんにちは。お昼、持ってきたよ」






いつもは夕方にしか来ない私が、昼間に来たことに――




ヒュースさんは少しだけ、目を丸くした。



『 (...この時間はまだ....) 』



ふと目の奥から揺れるように伝わってくるちょっとした驚き。



(……あ、そうだよね。いつもはあなたお昼は居ないから....)





でもすぐに、いつもの無表情に戻って、静かにうなずいた。



私はお盆をテーブルに置いて、親子丼を差し出した。





「今日のお昼は親子丼。……ヒュースさんの分、ちゃんと味見して作ったよ!」





ヒュースさんは静かに器を受け取ると、無言で食べ始めた。



その姿を見て、私の胸がじんわりあたたかくなる。




(前は、食べるところなんて見せてくれなかったのに……)






最近、彼は「感謝する」と言ってくれるようになった。


それがすごく嬉しくて――





私は、そっと声をかけてみた。




「……ねえ、ヒュースさん。もしよかったら……今日のごはん、ここで一緒に食べてもいい?」






一瞬、彼の手が止まる。





でも、顔は上げずに、ただひとこと――





「……好きにしろ」





その言葉を聞いた瞬間、胸がぱぁっと熱くなって、



顔が自然と明るくなった。




「い、急いであなたの分も持ってくるね!」





笑いながら立ち上がって、私は駆け足で部屋を出た。






階段を軽やかに駆け上がる足音が、石造りの壁に響く。













扉が閉まり、静寂が戻った部屋。






箸を持ったまま、ヒュースは少しだけ眉を寄せた。





(……何を、そんなに)



胸の奥に、ふと生まれた“ざわつき”に――




自分でも、戸惑いを覚えながら。

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