第3話

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2025/11/05 16:16 更新
鏡の前で、淡いピンクのルージュを引く。
完璧に整った姿──それがカノン・ロザラインの鎧だった。

「ヴィル先輩……。わたし、わりと本気で怒ってますからねー…」

昨日、撮影の合間にユウが差し入れを持って現れた。
ヴィルは微笑みながら受け取り、柔らかく言葉を交わしていた。
それを見ていたカノンの中で、何かが静かに爆ぜた。

(綺麗な人を見れば、誰でも微笑むのね。……でも、それは“ヴィル・シェーンハイト”だから。
 誰もが見惚れて当然。でも、わたしだって──)

鏡の前のカノンの瞳が鋭く光る。
清楚な顔立ちに、一瞬だけ強気な“本性”が滲んだ。

「……ふふっ、いいわ。勝負してあげる。
 あの子が“可愛い”で攻めるなら、私は“完璧”で上書きしてやる。」

部屋に一人きりなことをいいことに鏡を確認せずに口角をあげる。

「あぁ、これじゃ本当にヴィランじゃない。」

だが、ドアを開けた瞬間には、儚げな微笑みに戻っていた。
ヴィルの前では──決して“強い女”を見せない。

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