第11話

優しさ
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2025/12/25 10:06 更新
お父様
___あなたの下の名前、入るぞ
あなた
はい
布団から体を起こして扉の方を見てると、お父様ともう1人、少年と言えるくらいの人が居た
お父様
今日から入る使用人だ
石蕗つわぶき
初めまして、石蕗と申します
よろしくお願いします
頭を下げてそう自己紹介をしてくれた
あなた
よろしくお願いしますね
何かあったらいつでも言ってください
お父様
彼はあなたの下の名前とそんなに歳が変わらないから、話しやすいだろう
あなた
(へぇ)
お父様は仕事で屋敷には居ない
帰ってくるのは月1~2程度だ、それを気にしたのだろう
あなた
ありがとうございます
石蕗つわぶき
___…あの、失礼を承知で聞いても良いでしょうか
あなた
?、どうしましたか?
食事を運んでくれた石蕗さんが、扉に行かず横たわってる私の方を見た
石蕗つわぶき
1人で、寂しくはないのですか
何かご主人様に頼まれたりは…
あなた
……
あなた
ふふっ、優しいですね、貴方は
そんな事を気にしてくださるなんて
あなた
寂しくない…と言いたいですが
寂しいですよ
あなた
窓の外も見れず、1人静かな部屋で動かないのは、とても
石蕗つわぶき
…なら、遊びませんか
俺と
あなた
……
石蕗つわぶき
妹が居るんです
ここから少し歩くと木がポツンとあって、その先に
石蕗つわぶき
良く話を聞かせたり、簡単な物で遊んでるんです、失礼なのは承知の上ですが
石蕗つわぶき
気が狂ってしまいますよ
こんな静かで、冷たいのは
あなた
…本当に、優しい人…
ここの使用人は皆、私を"お嬢様"として扱うのに
あなた
貴方は…石蕗さんだけは違うのですね
石蕗つわぶき
…無理に背伸びをしなくて良いんですよ
我が儘は、言いずらいかもですが








それから、色んな物で遊んだ
あやとり、しりとり、物語を教えてくれたり、手作りの玉でお手玉もしてくれた
石蕗つわぶき
___寒くないですか?
あなた
えぇ…だって
あなた
貴方が、居るから
目の前の庭から目を反らして、石蕗さんの顔を見る
石蕗つわぶき
…ちょっと待っててくださいね
立って縁側に行ったと思ったら、傘を持って私の前に座った
石蕗つわぶき
これを
あなた
…傘と、簪…でしょうか
……えっと…
どう返答すれば分からない
雪の結晶と青い花が付いてる簪が綺麗で、言葉が出てこなくて戸惑ってると、石蕗さんが口を開いた
石蕗つわぶき
…あげますよ、貴方に
あなた
えっ
驚いて顔をあげると、石蕗さんが柔らかく軽く微笑んでいた
あなた
え、あ……わ、私に…?
良いのですか?こんな高価そうな…
石蕗つわぶき
良いんですよ、俺があげたいんです
石蕗つわぶき
簪、付けても良いですか?
妹に時々やってあげてたので、うまく出来るとは思いますよ
あなた
ありがとうございます
石蕗さんが後ろに回って、髪を優しく手で解かしてくれる
石蕗つわぶき
痛かったら言ってくださいね
あなた
はい…
あなた
(恥ずかしい…ような?
なんだか落ち着かない…)
人に髪を触られるなんて、しかもこんな優しく
始めてじゃないかしら
あなた
(…お母様が居たら、こんな感じに触れるのでしょうか)
あなた
(……ダメね、暗くなっては)
お母様は、写真でしか見た事がない
私を産んだ時、亡くなってしまったらしい
あなた
(…表裏一体)

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