潮風が、俺と九十九さんの間を駆け抜ける…______
…俺とあなたの下の名前がこの先も一緒にいれば、たぶん俺とあなたの下の名前は高専から罪を掛けられる。
とは言っても、そこまで重い罪ではないはずだ。
俺もあなたの下の名前も、それぞれ「呪術的な立場」がある。
けれど…_____
ー 私は生きてても、いいの…? ー
もしもあなたの下の名前に罪が掛かれば、
それだけでもう、
あなたの下の名前は生きていけない。
…九十九さんは面白そうに俺を見る。
俺は海辺で遊ぶあなたの下の名前を見た。
中学生だって言うのに海くらいではしゃいで、ガキもいいとこだ。
正直、俺だって呆れたりする。
…けど、そんなあなたの下の名前を止めようとは思わなかった。
俺は、座っていた波消しブロックから立った。
擦り潰れた角に足を乗せて、全身で海を一望する。
そう、俺は昔から、誰か1人という存在に興味がなかった。
他人は他人、俺は俺。
その人に恨みがあるわけでも、気にしているわけでもない。
それが俺の人との関わり方。
…けれど、あなたの下の名前は簡単に、そんな俺を覆した。
俺に、真っ白な、天使のような光を与えた。
俺がそう話し終わると、九十九さんは「はっはっは」と豪快な笑い声を上げた。
俺はぎょっと彼女の方を見る。
「若いねぇ~」といいながら、九十九さんは俺と同じようにその場を立つ。
俺が答えるまで、しばらく虚空を眺めているかのような妙な間が空いた。
ザザ…と波打つ音、かもめが鳴く声が、静かに耳に入ってくる。
曖昧な返事がぼんやりとその場に残る。
対して九十九さんは「ふふっ」と笑った。
ブロロロロ…とバイクのエンジンを蒸かしながら、それにまたがって九十九さんは手を振る。
「そりゃどーも」と言う俺の後ろでは、ビッタリとあなたの下の名前が、俺の手を握り締めて引っ付いていた。
まるで、俺を「譲らない」とでも言いたげに。
目を向けられたあなたの下の名前は人見知りのせいか、びくっと肩を震わせた。
俺を握る手が、ギュッと強くなる。
…けれど、何事もなかったように、しばらくするとあなたの下の名前は九十九さんにお辞儀をした。
九十九さんは微笑んで返し、そのまま去っていった。
…九十九さんがバイクで走り去る様子を見送り、海岸に残されたのは俺とあなたの下の名前の2人きりになった。
すごろくの振り出し。
九十九さんが来る前と何ら変わりない。
けれど、俺の心はここに来た時よりもざわざわとしていた。
…本当に俺の選択が「正解」なのか、俺のせいであなたの下の名前が責められることはないか、俺は本当にあなたの下の名前のことが好きなのか…______
いろんなことが、うずめいている。
好奇心でそう尋ねてくるあなたの下の名前の問いが、俺の耳を通り抜ける。
意識にも止まらない。
返事がないことにあなたの下の名前が心配そうな表情を向けて、俺の名前を呼ぶ。
俺はこれからどうすればいいのか、
どうやってあなたの下の名前を守っていけばいいのか、
漠然とした問いに、俺は1つの答えが浮かんでいた。
つづく
あと5話くらいで終われたらいいなぁ🤔
⇧おすすめです、ぜひに✨
なるちゃん、彩月ちゃんスポットライトありがとう!!😭✨















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。