司くんやえむちゃんが帰った後、ネネロボちゃんはキューン...という音を立てながら俯いた。機能停止したのかな?なんて思っていると
類「寧々、二人はもう居ないよ。出てきたらどうだい。」
少し声を張って類くんが言う。そうすれば寧々ちゃんは物陰からチラッと顔を見せてから周りを見渡し、ゆっくりこちらに近付いてきた。
そして一言。
寧々「......本当にロボットをメンバーに入れるなんて」
寧々「どうかしてるんじゃないの?」
最初の一言が辛辣~なんて思っているが、僕も同意見だったため同感することしか出来ない。
それに対して類くんはニッコニッコで
類「いやあ、まったくだね」
と、後頭部に手を添えて言う。楽しそうで何よりだけど寧々ちゃんがスゴい顔してるよ。類くん、前!前!
茶番を脳内で繰り広げていれば、二人の目線がこちらに集まっているのがわかった。
『え?僕も言った方がいいの?』
そう言えば類くんはにこ、と微笑み、寧々ちゃんは頭を縦に振る。
疲労で適当に同意する事しか出来なさそうだ。なんて思いながらも、それとは裏腹に二人ならわかってくれるだろう、と少々なげやりになり
『はぁ......僕は寧々ちゃんに同意見かな。うん。』
びっくりする程薄っぺらい相槌、同感だったが、声色や表情で疲労を読み取ってくれたのか苦笑いを送られる。
ほとんど何もしていないのになんでこんなに疲れてるんだろう....
寧々「まぁ....急にロボットを持ってきて、【一緒にショーをやらないか】なんて言ってくる類も、大概どうかしてるけどね。」
少し呆れたような顔でそう良い放つ。でもそうは言っているが、なんやかんや寧々ちゃんも乗り気だったような....?
天馬さんと鳳さんが話してくれたさっきまでの事を思い返しても、やはり乗り気だったとしか思えない披露ぶりだと思った。
いろいろと考えていても埒が明かない。このことはお蔵入りに....
そう思い、思考を放棄する。
無音、無音。
誰も話し出そうとしないこの空気がとても息苦しく、とても長く感じる。
何故なら、まだあの事を話せていないからだ。無理矢理連れてこられて、思い出して....説明する時間が全然無かったため今の今まで話せず、ずるずると引き摺り続け...今に至る。
きっと実際はそんなに時間は経っていないのだろう。相対性理論、というやつだ。
あの事を話せていない、という焦燥感と長く続く無言が、僕に対して圧力を掛けてきている。
とりあえず、簡易的な事実だけでも伝えてさっさとこの場を離れよう。
そう思い、口を開く。
『ねぇ、類くん....』
寧々/あなた「『僕/私、ショーはもう..........』」
2人の声が重なった。
寧々ちゃんは驚き、勢いよく此方に目線を向ける。そういう僕も驚いて寧々ちゃんの方を向いていた。
この場で唯一驚いていないのは、類くんだけであった。
青年は不思議そうな顔で2人に聞いた。
類「それじゃあ、どうしてここに来たんだい?」
類「特にあなた。君なら、もっと抵抗しようと思えば出来ただろう?」
2人が目線をそらしていた青年からの質問は、2人に深く突き刺さる。
暫くぽかんとしていた僕達だが、10秒程経った頃には寧々ちゃんの眉は中心に行けば行くほどつり上がっており、少し怒気を含んだ声で
寧々「........ほんっと、性格悪い。」
なんて呟きが聞こえた。それに便乗し、僕も口を出す。
『久し振りに会えた幼馴染みから、【着いてきて】なんて言われて引っ張られてるのに、その手を振りほどいて逃げるような薄情者だと思われていたなんて....心外だね。』
類くんは黙ったまま何かを考えるようなポーズをする。どうせ僕が断れない事を知って、それを利用しながらも言い逃れようとしているのだろう。
『親しき仲にも礼儀ありっていう言葉を昔の人は残している筈なんだけどなぁ...........』
精一杯の嫌みを込めながら、微笑む。これで非を認めてくれれば良いんだけど....そんなこと類くんがする筈がない。
やはりものともせずに類くんは言い返した。
類「ふふ、そこはお互い様じゃないかな?」
類「それと、昔の人は類は友を呼ぶ、なんて言葉も残しているのだけど....知っているかい?」
......遠回しに僕も礼儀を気にしてない人だって言われてる?これ。
『はぁ........』
『言い合いはもうやめて帰ろうか。埒が開かないからね。そうでしょ、類くん。』
じとっとした目で睨むと、類くんは眉を少し下げて笑いながら、そうだね、帰ろうか。と言った。
それに続き、少々不機嫌になった寧々ちゃんも後ろを付いてくる。
なんだか小さい頃に戻ったみたいで少し懐かしかったのは二人には内緒。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。