今、モトキが遊びに来ている。今日は貴重な休み。急な来訪には驚いたが、ちょうど暇だったので嬉しかった。
ただ昼間からお酒を勧めたのは良くなかった。
いい酒を手に入れたので、モトキに勧めたところかなり気に入ったようで、バンバン呑んでいる。
………その結果、モトキはでろんでろんに酔ってしまった。ついには、頭が正常に働かなくなったのか、変なことまで言い出した。
ほら、おかしい。やっぱ呑ませすぎたか。
俺はモトキの右手に持つグラスをひったくろうと突進した。それでつい、勢いづけてしまった。
ドサッ
2人して床に倒れ込んだ。
倒れた拍子にモトキがグラスから手を離してしまったのだろう。中身が辺りにぶちまけられ、大半が俺にかかってしまった。
慌てて俺はモトキから離れようと身を起こそうとした。だが、起こそうとした身はモトキが腰を掴んでいて動かず、起こすどころか逆に引き倒されてしまった。
ぶつかる寸前まで引き寄せられた。
あまりにも距離が近いからなのか、モトキの吐息を感じる。
また変なこと言い出したよ。何回目だ、これ。
テキトーに受け流す。どうせ明日になったら忘れてんだろ。
良いが醒めたのか、急に真顔になって質問してきた。
……….本当になんなの。この子。
急に近づいてきたかと思えば、口に柔らかいものが触れた。
キスされたのだと分かったのは、そう言われた後。初めての感覚に少し戸惑ってしまい、頭の整理が全く追いつかない。
そう区切ると、俺の肩を掴んできた。
………….なぜかわからんけど、嫌な予感がする。
次の日からどうなったかって?
…………恥ずかしいから内緒だ///
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!