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パーティー会場は、悲しいくらい静まり返っていた。
停電のせいで照明は落ち、非常灯だけが壁を赤く照らしている。
割れたグラスも、散らばった装花も、すべて途中で時間が止まったみたいだった。
私は、杯戸町、その先の米花町までずっとずっと一望できる、大きな窓の前に立っていた。
外は、雪が降っている。
白くて、静かで、さっきまでの爆音が嘘みたいだ。
遥か下を見下ろすと、消防車と救急車が何台も並んでいて、赤色灯が夜景の中で滲んでいた。
ホースから噴き上がる水は、ここまで届きそうにない。
避難できないことは、もう分かっていた。
テーブルの裏。
柱の影。
死角になる壁の隅。
至る所に爆弾が仕組まれていたのに気づいた時、タイマーは残り20分だった。
あれから15分は経つから、爆発するまでもう時間がない。
ここまで徹底的に準備されるなんて、渋沢は一体なにをしたのだろう。
まあ、何をしたとしても、一度組織と関わって、抜け出そうなんてしたらこうなるってことだ。
下へ降りる道はもう残されていない。
連絡橋も、エレベーターも断たれ、非常階段すら既に炎がまわっている。
逃げる気などとうに消え失せ、雪の舞い散る夜空を見ながら窓に手を添えた。
いや、……今は、
…バーボンか…
目の奥がじんと痛み、
視界が少し潤んだ。
組織。
爆弾。
暗殺。
彼はその中にいる。
一般人を巻き込み、建物を破壊する組織の一員である。
……助けてよ。
……爆弾があるなら、先に教えといてよ。
組織を潰すために人殺しに加担するなんて、なにしてるの?
そんなんでいいの…?
それが貴方のやりたいことなの?
貴方は、馬鹿なの…?
彼への怒りが募るのに、なぜか胸の奥がひどく傷んだ。
……零さん、無事かな。
任務成功して、目的に近づけたかな。
その時だった。
コツ、コツ、コツ、
暗闇の向こうから、靴音が近づいてくる。
やがて、明かりの縁に影が浮かび上がり、一人の男が姿を現した。
……零さん。
…いや、バーボン。
その顔を見た瞬間、分かった。
ああ、この人、任務をやり遂げたんだ。
渋沢さんは、もういない。
彼も少なからず殺しに関わってきたんだ。
それでも。
考えるより先に、身体が動いていた。
私は彼に駆け寄り、強く抱きつく。
彼の筋肉質な硬い身体を感じた時、堪えていたものが涙となって一気に溢れた。
その微かな声が、どうしようもなく優しく聞こえてしまった。
ううん、零さんのせいじゃない。
そんなの分かってる。
理解するべきなのか。
断罪するべきなのか。
分からない。
選べない。
だけど、暗殺に関わったこの人が、
今は、ひどく、ひどく愛おしい。
私は、堕ちたのかもしれない。
でも、それでもいい。
あの女が言っていた言葉が、ふと脳裏をよぎる。
——ルシエル。
堕ちた天使を意味する言葉。
なら、これが私の選んだ堕ち方だ。
背中に、彼の腕がまわるのを感じた。
『ハイウェイの堕天使』
が次の映画ということで、
堕天使に関連させて書いてみました!
ちなみに、
“ルシファー” は堕ちてしまった光のこと。
光だったことを忘れられない存在であるのに対し、
“ルシエル” はまだ堕ちていない、堕ちない光。
無垢な天使で汚れていない存在を表すそうです。
まあ、安室さんは組織に堕ちてる訳じゃないので、そんな彼を愛してしまうあなたの下の名前ちゃんも堕ちてはいないってことですね😉
あなたの下の名前を、ベルモットのふたり目のエンジェルにしたくて、
こんな話になりました🪽
いかがでした……?笑
明日は、そんなあなたの下の名前が
羽を生やす回になりそうです🪽













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!