それから陽葵と喋ってると翔太先輩の学校の部員さんがぞろぞろと出てきた。
もうミーティング終わったんだ。
翔太先輩が来るのを待ってると、私に気づいたお兄ちゃんがこっちに近づいてきた。
蓮「お前来るなら言えよ。おかげで先輩達にからかわれたぞー。」
あなた「ごめんごめん笑」
蓮「あっ、陽葵ちゃんも来てくれてありがとね。」
陽葵「あっ、はい!かっ、かっこよかったです!」
蓮「ありがとう笑じゃあ俺友達ん家行くから。翔太先輩に迷惑かけんなよー。」
あなた「分かってるもん!」
蓮「じゃあなー。」
お兄ちゃんはそう言って手を振りながら、帰って行った。
陽葵「はーー、心臓止まるかと思った。」
あなた「大丈夫?」
陽葵「うん。あなた、私決めた!私もあなたと同じ学校受ける!」
あなた「えっでも親御さん有名高校受験しなさいって言ってるんでしょ?大丈夫なの?」
陽葵「私の人生だし、親が何言おうが私は自分の行きたい高校に行く。それにさっき話して分かったの。やっぱり蓮先輩じゃなきゃダメだって。」
あなた「陽葵…」
陽葵「てことで、お互い合格して高校でも一緒にいようね!」
あなた「もちろん!」
約束を交わすと、陽葵の携帯からLINEの通知音が鳴った。
陽葵「げっ、親怒ってる。ごめんあなた、悪いけど私帰るわ!また学校でね!」
あなた「うん、気をつけてね!」
陽葵と手を振ると猛ダッシュして帰って行った。
一人で翔太先輩が来るのを待ってると、角から翔太先輩が出てくるのが見えた。
あなた「翔太せんぱ…」
声をかけようとした途端、先輩の方に何人かの女子が集まって行った。
その中には試合前にかっこいいと言っていた女性2人もいた。
女性A「今日の試合すごくかっこよかったです!」
女性D「この後空いてますかー?♡」
女性C「連絡先交換しませんか?」
女性達が誘ってると、先輩は無表情で答えた。
翔太「すみません、この後用事があるんで。それじゃ。」
そう言うと女性達の間を掻い潜り、私の前に来た。
翔太「ごめんね、遅くなっちゃって。行こっか。」
あなた「はっ、はい!」
翔太先輩は私の手をとり、歩き出した。
ちょっ、翔太先輩!?手っ、手が!
翔太「ごめん、あの子達見えなくなるまで我慢して。」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!