第66話

日向くんへ
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2026/05/10 11:40 更新
烏野メンバーへ向けての手紙が何枚もあった。
その中から一枚の封筒を手に取った。
そこには、『日向くんへ』そう書かれていた。
「それじゃ、まずは日向」
そういうと
「…あいッ」
既に泣きそうな返事をした。
『日向くんへ
今日一緒に歩けて本当に嬉しかった。
退院して、またこうして日向くんの隣を歩けることが、私には奇跡みたいに感じられます。
あの時、ロードワーク中に車が突っ込んできた瞬間、体が勝手に動いていました。
日向くんが怪我をしないで本当に良かった。病院のベッドで「なんであんなことしたんだ」ってみんなに怒られたけれど、私はちっとも後悔していません。
だって、日向くんにはまだ、見なきゃいけない景色がたくさんあるんだもん。
でもね、入院中に自分の心臓の音をずっと聞いていたら、分かっちゃったんだ。
私の時間は、もう残り少ないんだなって。
日向くんを助けたことで、少しだけその時計が早まっちゃったかもしれない。
それでも、私は日向くんの「未来」を守れたことが、私の人生で一番誇らしいことだと思っています。
日向くんは、私にとって太陽みたいな人です。
私がいない場所でも、日向くんはもっともっと高く跳ぶんだろうね。
影山くんと喧嘩してもいい。
だから、誰よりも自由にコートを駆け回ってほしい。
日向くんが頂の景色を見たとき、その横に私がいないのは、少しだけ寂しいけれど……。
でも、風が吹いたら思い出して。私はいつでも、カラスたちの鳴き声に混ざって、日向くんのことを応援しているから。
大好きだよ。ずっと、ずっと。』

手紙を読み終えると、日向は声を上げずに肩を震わせ、ボロボロと畳に涙を落とした。

「……あなたさん、俺……俺のせいで……っ」

「違うべ、日向」

俺は日向の頭を優しく、力強く撫でた。  

「あいつは、お前の未来を守ったんだ。後悔なんて一ミリもしてないって、書いてあるべ? お前が止まったら、あいつ、化けて出てきて怒るぞ」

日向は涙を拭い、窓の外で夕焼け空を飛ぶカラスを見つめた。

「……おう! あなたさんが守ってくれたこの足で、俺、誰よりも高く跳びます!!」

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