夜の街灯の下で、ヨルの感情が一気に溢れた。
「……Fukase……」
声が震えたまま、顔を上げる。
「大好きだからね」
その一言を言った瞬間、堰を切ったように涙がこぼれる。
「ほんとに……好きなのに……」
言葉が途切れ途切れになる。
「分かってほしかっただけなのに……」
泣きながら、肩が小さく揺れる。
Fukaseは一瞬、言葉を失う。
そしてすぐに近づいて、ゆっくり頭を下げた。
「……ごめん」
もう一度、はっきり言う。
「ごめん、ヨル」
深く息を吐いてから続ける。
「俺、ちゃんと分かってなかった」
顔を上げて、まっすぐ見る。
「ヨルはさ」
少しだけ迷ってから、
「彼女でもあり、メンバーでもある」
その言葉に、自分でも整理しながら言い切る。
「どっちも大事なのに、どっちも中途半端にしてた」
一拍。
「ほんとごめん」
もう一度、強く謝る。
ヨルは涙を拭きながら、しゃくり上げる。
「……遅いよぉ」
でも、さっきみたいな拒絶ではなかった。
ただの本音だった。
Fukaseは少しだけ笑って、でも真剣なまま言う。
「うん、遅かった」
「でも、今ここにいる」
沈黙。
風が通る。
その場に残ったのは、壊れかけていた関係が――
少しずつ戻ろうとしている気配だった。











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。