あなたを家まで届けたあと 、
ゆっくりと自分の家へ向かう。
俺の家はあなたの家から歩いて
15分くらいのところにある。
ガチャ 、とちゃんと鍵を閉めて
上着を脱いでベッドに倒れ込む。
楽しかったけどすごく疲れた1日だった。
疲れたって言うのは体力的に 、じゃなくて
精神的に。
ずっとずっと胸が痛かった 、気がした。
ピロン 、と通知音がして見てみると
今日の写真が10枚ほど送られてきた。
大体は水族館の写真で 、しかも俺が映っている。
上手く撮れているから少し恥ずかしいけど
保存して 、自分が撮った写真と一緒に
見ながら数時間前の出来事を思い出した。
あるコーナーを抜けた時 、
世界ががらっと変わったような
不思議な感覚になった。
紫や青のライトが照らしている水槽には
クラゲが何匹もいて 、その水槽がいくつもあった。
だからか 、このコーナーはクラゲに
挟まれたひとつの道のようだった。
そして 、このコーナーに来た瞬間
あなたの表情もがらっと変わった気がした。
あんなに騒いでいたあなたが
「 綺麗すぎて言葉が出ない 」とでも言いたげな
表情でクラゲが泳ぐ姿を見つめていた。
その表情を見て 、思わず写真を撮ってしまった。
あなたが心を奪われたクラゲじゃなくて
クラゲに心を奪われるあなたの写真を。
俺はクラゲを見つめるあなたが綺麗だと思った。
眩しいくらいに明るいのに 、それと同じくらい
透明感のある儚い雰囲気を持ち合わせている。
そのあなたの姿に 、言葉が出なかった。
きれいで 、きれいで 、とにかく綺麗で。
あなたという宝石を俺は今日見つけたのだ。
そう強く思ってしまうくらい 、綺麗だった。
写真を見る度に 、記憶が鮮明に蘇ってきて
胸の高鳴りが抑えられなくなる。
初めての気持ちに 、心の変化に
自分でもおかしくなりそうだった。
だから俺は 、ある人にこのことを打ち明けた。
【 パタ姐 、今日こんなことがあって 】
【 それからずっと胸が痛くて 】
こういうことを言えるのはパタ姐しかいない。
起きててくれてよかったと
即レスの通知を見て思った。
【 おー!デートか!楽しそうだなぁ 】
【 ローレンはさ 、家に帰ってから
ずっとどんなこと考えて 、
どんなことを思って 、感じてるの?】
どんなことを考えているか ....
何度考えても出てくるのは一人の女の子のこと。
【 あなたのことをずっと考えてて 、
その度に胸がきゅっとなる。
また会いたいって思う。】
【 多分それは恋なんだと思うよ 、ローレン 】
こい 、コイ 、濃い 、鯉。
頭がぐるぐるして 、パンクしそう。
でも 、全部が繋がった気がした。
あなたを見て綺麗だと思うのも 、
写真を見る度に会いたいって思うのも 、
あなたの力になりたいって思うのも 、
全部全部理由が " 恋 " なら
納得がいく気がする。
この気持ちに全部 " 好き " が関係しているなら
当たり前の気持ちなのかもしれない。
言葉にした時に感じた 、妙に恥ずかしい
この気持ちがきっと答えなんだと思う。
あなたはやっぱり 、宝石だった。
... いや 、今日からあなたは
俺がどうしても手に入れたいくらいの
宝石になった。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。