理科準備室
そこには数年前、殺人事件があったため、
生徒はもちろん、先生でさえ、
出入りを禁止されている。
誰も知らない。いや、知ろうとしていない。
木材出できた床には、まだ血痕が残っている。
ひとつの瓶。中には心臓がひとつ入っている。
その心臓を見て、私はいつも、
『馬鹿だね』
と、呟く。
誰も知ろうとしない。誰も知ろうとしないから、
犯人は見つからない。
はぁ、
やっぱり世間は、
馬鹿だね。
この学校のやつらは、全員馬鹿だ。
ほーんとのほーーんとぉにっ、馬鹿だ。
最初は嫌いだったが、もうそんなことも思ってない。
むしろ馬鹿すぎて滑稽なくらい。
今日も俺のいない廊下を選んで通るんだぜ。
どーんだけ俺のことが嫌いなんだか。w
こっちは仲良くしたいのによ。
まぁ、そんなん嘘だけどw
だって俺、友達いるもん。相思相愛の、な。
あれ、何の話だっけ、w
ま、いっk…、
『ガラガラガラッ!!!』
そう。あれは梅雨の時期だった。
いつも通り下駄箱を開けるとそこには、
一通の便箋が入っていた。
『理科準備室に来て。』
丸っこくて可愛らしい字。
その字には、心当たりがあった。
そして放課後。
ガラガラガラ…、
グサッ
その後、俺はこさめを理科準備室の奥に隠し、
教室に戻った。
何も無かった、フリをして。
数時間後。こさめのことが全校に広まった。
『噂の死体、あれ2年の雨乃らしいぜ。』
『雨乃先輩?見たことある…、』
『ねぇ、怖すぎっ!!なんで学校でこんなめんどくさい事件起こすのかなー!』
『雨乃?誰だそれ。』
『面白そうやん!見に行こうぜ!』
『うるさいなー。静かに歩けよ…。』
『理科準備室だっけ?こわぁ、、、』
『理科の授業の人どうすんだろうねw』
どうすればいいのだろう。
俺のこと助けてくれる奴はもう居ないんだ。
警察が来るのは面倒そうだな。
他の生徒や先生が来るのも避けたいし、、、
俺は紙に文字を書いていく。
『この手紙を読んでいる人へ。
私は2年の暇72です。
ここで雨乃くんが亡くなったとの噂を聞きました。
加えて、ここが呪いの部屋だという噂も。
ですが、私は雨乃くんが心配なので、
この部屋を調べてみようと思います。
私には、家族が居ないので、
思い残すことなどは、特にないです。
今まで仲良くしてくれたやつ、ありがとうな。
私がこの部屋からかえってこなかったら、
そうだったのだと思ってください。
警察への連絡などは必要ないです。
それと、これ以降この部屋への、
生徒、及び先生の立ち入りを禁止してください。
今までありがとうございました。
では、さよなら。』
数時間後
『なつ、あいつ、、なんで、?』
『ぇ、これってあの暇72くん!?』
『やめてください!ここは立ち入り禁止です!』
『おれ、なつを…!』
『ねぇ入んないでって言われてるじゃん!』
『なつくん、連絡しても帰ってこないよっ、!』
『うるっせぇなぁ、こんなことで騒ぐなよ、、』
『なつくんが心配だよっ!私行くから!』
外であいつらの騒ぐ声が聞こえる。
俺は今理科準備室の中。
隣にはこさめ。
これで、一生ここから出なければ。
このことは『理科準備室の怪談』で済むはず。
いずれここは立ち入り禁止になって、
今の1年生が居なくなる頃には、
『理科準備室ってなんで入れないんだろー?』
で終われるはず。
なんで起きてくれないんだよ。
そんなことを言ってた頃から数年。
『理科準備室で___!』
鈍い音が理科実験室中に響く。
あの日こさめのチがべっとりと付いたあの包丁は、
今、俺の腹部に、
刺さっているのであった。
end.理科準備室
アンケート
どれくらい?
〜1000字(短め)
2%
1000字〜2000字(いつもの)
23%
2000字〜3000字(今回みたいなの)
27%
3000字〜(多分無理!w)
48%
投票数: 52票
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!