その数日後、鷹羽家から帰って来たぷりっつは大した収穫が無かったそうで肩を落としていた。
二人は三日後に向けて、色々と準備を進めた。
当日、二人は朝早くから身支度を整えて診療堂を出た。
二人の間に沈黙が流れる。
あなたがちらりとぷりっつの顔を見ると、ちょうど目が合ってしまった。
慌てて逸らそうとすると、ぷりっつがにこりと微笑む。
いつも仏頂面だった癖に、急に表情筋が柔らかくなりすぎではないだろうか。
その笑顔一つで一体どれだけの女性が恋に落ちるか、考えて欲しいものだ。
あなたは、寺にいた頃の事を思い出しながらぷりっつに話し始めた。
私がお寺に来たのは三歳くらいの時だったそうです。
お寺にいた頃は毎日働き詰めで、まだ幼かった私はよく失敗をしてしまい、いつも怒られていました。
拾って貰った身という事もあり、失敗をしてしまった日や、誰かの機嫌を損ねてしまった時なんかは食事が与えられなかったりもしました。
ただ、私は病死してしまった母の影響を受け、誰かの命を救う仕事がしたいと思っていたのです。
いつかお寺を出られ時の為に少ない空き時間を利用し、薬草の勉強などをしていました。
時は流れ、私が十歳くらいの時でしょうか。
僧侶さんが体調を崩され、お寺に薬師さんが来ました。
こっそり覗いていると、薬師さんは私に声を掛けてくださりました。
こくこくと頷くと、薬師さんは静かに見ているんだよと、寝ている僧侶さんの横で薬を調合する様子を見せてくれました。
その時私は初めて本物の調合台に触れ、薬草の匂いを嗅ぎました。
凄く嬉しくて魅入っていたのですが、僧侶さんが起きてしまい、私を追い出すように仰いました。
その時僧侶さんが私に言った言葉に、薬師さんが腹を立てられ、少しの間お二人は言い合っておりました。
当時の私は怖くてすぐその場を離れてしまったのですが、薬師さんは帰る時、私に声を掛けてくれました。
そうして私はその方に引き取られ、お寺を出る事が出来ました。
お寺側としても、引き取って貰って有難かったのだと思います。
そんな風に話をしていると、目的の山の麓に到着した。
続く













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!