あれから数週間後 。
結局 、彼が私に
なにを伝えたかったのかは
分からず終いだった 。
目の前でビクッ と
分かりやすく肩を震わせる女 。
に 、銃を向ける “ ふり ” をする私 。
苦しい顔をして口が閉じた彼女 。
この瞬間が堪らなく惜しい 。
2つ選択肢を与えれば
その回答は 3つ 。
・ 金で逃げる
・ 大人しく捕まる
そして
・ 言いなりにならず反抗する
彼女は 、賢い選択をしたようだ 。
彼女とあと少しで手が触れる 、
それを制止した男の声 。
聞き覚えのありすぎる声が
耳から脳へと直接伝わる 。
視線を移してみれば
紛れのない現実の情報 。
彼の持つ拳銃の矛先は
目の前の女ではなく
私である 。
あぁ 、痛い痛い 。
彼の視線が酷く痛い 。
グ 、と拳に力が入る 。
見る限り彼は一人で
私の数十歩離れた正面から
拳銃を下ろさない 。
手で “ 逃げろ ” と合図をしてみると
怯えていた彼女は
颯爽と走って逃げていった 。
( パンッッッ !!!!! 乾いた発砲音が響き 、
鋭い物が横をすり抜ける 。
直後 、すぐ後ろのゴミ箱が
“ ばん ” と大きな音を発して倒れた 。
銃を構え直す後輩 。
だがその視線は私のまま 。
酷く間が空いた 。
その沈黙を打ち破ったのは私 。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝ ︙ 裏切りだって構わない ー Fin











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!