血のハロウィンの後
責任を取って東卍を抜けた場地と一虎は
壱番隊隊長の座を武道に任せた。
そしてその武道が未来に帰っている間…。
あなたは真一郎に言われて自分も手元を見ると
修理中のバイクのパーツが
本来とは全く違う所に付いていた。
あなたは急いでパーツを外し始める。
真一郎の真剣な眼差しに
思わずあなたはたじろいでしまった。
しかし、それも一瞬の出来事で
すぐに笑顔になった。
そしてバイクと向き合い弄り始める。
あなたは“イザナ”という言葉に反応し
持っていた工具とパーツを落とす。
ガシャンッという音が店内に響いたが
今は2人以外この店には誰もいない為
特に騒ぐ様なことはなかった。
あなたは立ち上がって否定する。
真一郎と目を合わせたあなたは
真一郎の悲痛な、今にも泣き出しそうな顔を見て
これでもかと大きく目を見開く。
あなたは膝をついて顔を覆い
泣いている真一郎を見て胸を痛める。
あなたは不思議に思いながらも
真一郎に近づき腕を掴んで立ち上がらせた。
目を細め、優しく微笑んだあなたに
真一郎は目を見開く。
そう言い合い笑い合った2人は
お互いの小指を絡ませ合ったのだった。
2017年12月ーーー
1人の人物が、とあるビルの屋上に立っていた。
その人物は自身の右手の小指を見つめている。
そして、吸っていたタバコを吐き捨ると
右手をギュッと握った。
そしてビルの屋上には…
まだ煙が出ている煙草が一本、
落ちているだけだった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!