第16話

16. 惹かれる
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2024/03/21 09:26
あなた
 ……、… 
白福
 …あなた、大丈夫?
あなた
 …え、あ、うん 
どうして…?
白福
 いやぁ、ぼーっとしてるから
もう部活終わったよ〜?
あなた
 うそ…そう、かな 

木葉先輩のプレーを見てからまるで上の空だった。
心臓の音こそなりやんだものの、気持ちは収まらない。なんならさっきより興奮してる。

…なにこれ
もしかして、私木葉先輩に落ちた?うそ。そんなことある?
だって木葉先輩はただ赤葦の先輩ってだけで、それだけで…


木葉
 ──あなたちゃん 
あなた
 っえ、

後ろから柔らかい声で呼ばれ、体がこわばる。
やばい、どうしよ。振り返らないと、でも、私、どんな顔してたっけ?いっつも木葉先輩にどういう顔で話してたっけ、あれ、

やばい───

あなた
 ぁ…… 
木葉
 ……え、

パチッ、と目が合う。

……あれ。あれ?

あなた
 (……) 

なんか、違う。
木葉
 え…………ん?あれ?

さっきまで暖かかった頬が冷えていくのがわかる。
熱が放出されると同時に、心も冷えていった。
目の前にいる木葉先輩は私を不思議そうに見る。さっきまで顔が赤くて戸惑っていた後輩が、突然普通の顔に戻ったら驚くだろう。

あなた
 (……わかった) 

私は、木葉先輩のプレーに惚れたんだ。
惚れた、というか、惹かれた?私のやる気をグッと引き出してくれた。

…ただ、木葉先輩…木葉秋紀、という男子高校生には惚れていない。
あくまでも木葉先輩のバレーに。…なるほど、面倒だな。うん。

あなた
 …え、なんですか?
木葉
 エッ、あ、いや、
バレー部入る気になったかなー…と……
あなた
 …ん〜…ちょ〜っとだけ?
木葉
 …え……マジ!?マジ!!?
あなた
 え〜、嘘かも!
木葉
 えぇ〜〜!!?!
赤葦
 馬鹿みたいな会話しないでください 
あなた
 いてっ 

木葉先輩とお話をしていると、後ろから赤葦に頭を叩かれた。痛いな〜と叩かれたところを撫でる。

赤葦
 青葉先戻ってて
片付けしてから行く
あなた
 あら
じゃあ下駄箱で待ってるね〜
赤葦
 うん、お願い 

赤葦や先輩方、監督達にお邪魔しましたと告げ、体育館を後にする。

あなた
 (うん、木葉先輩のプレーは凄かったけど 
木葉先輩には惹かれてない。)

その証拠に、木葉先輩の顔を思い浮かべてもなんとも思わない。バレーをする木葉先輩を思い浮かべるとドキドキするけど、なんだろう…うーん

あなた
 むずかし〜 

なんて呟きながら、下駄箱まで歩いた。












木葉
 …なぁ、赤葦 
京治
 ?はい
木葉
 お前…ってさ、
あなたちゃんと付き合ってないよな?
京治
 そうですけど 
木葉
 だよな…
なら、あなたちゃんは今フリー…?
京治
 え、まぁ、はい 
木葉
 ……やっっべーー…!!
俺…いや、マジやばいかも……
京治
 なんですか…青葉に惚れたんですか?
木葉
 …危うい、物凄く 
京治
 …突然ですね 
木葉
 いや!!だって、さっきの見た!?
あなたちゃんのあんな顔初めて見たし…

なんかもう…あれは……もう…
木葉
 俺を好きな目だった…!!!
京治
 …… 
京治
 青葉が可哀想です 
木葉
 おいコラ赤葦ィ!!

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