第18話

18. 聞きたくない
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2024/04/11 10:00
孤爪サイド

研磨
 …… 

愉快な音を鳴らす手元のゲーム機。
夕日が差し込むバスはゆっくりと揺れていた。

部活がオフの日。日直だった為少しだけ教室に残って、タイミング良くバスが来てたからバスで下校。クロは夜久くん達と遊びに行くらしくて先に帰ってしまった。

研磨
 (…ねむ) 

奥歯であくびを噛み、ゲームのクリア画面を見つめる。
…なんか、飽きた。やめよ。

そう思ってゲーム機の電源を落としてエナメルにしまう。ふと窓の外を見つめると、梟谷が見えてきた。

(プシューッ)

 ─梟谷学園前ー、梟谷学園前〜 

何人かが下車し、ふわっと外の空気が車内に流れてきた。俺は虚ろに窓の外を見つめる。

研磨
 ……ぇ 

すると、見慣れた人物が二人いた。

赤葦
 青葉、定期 
青葉
 あるよー、ぴっ!となぁ〜!
赤葦
 はい。奥座る? 
青葉
 ん〜通路側座る 

なんて、他愛もない会話をしながらバスに乗りこんでくる二人。空いた席を見つけた二人は、俺の二つ前の席に座る。

研磨
 (…赤葦と、青葉さん…だよね) 

いや、確実にそうだ。
でもなんで二人で居るの?二人って確か中学が同じだったよね、てことは一緒に帰ろ〜みたいなノリで?いやでも、梟谷の生徒ほとんど居ないし、下校時刻より結構遅いはず。それに赤葦はジャージで青葉さんは制服。待ち合わせをしたってこと。

でも、だから、どうして二人は一緒に…

研磨
 (え…待って、そういうこと?) 
研磨
 (たし、かに…仲良さげだったけど…え) 

…もし、もし二人の関係がそうだとしたら
赤葦にとっての俺とクロ、結構邪魔じゃない…?

口に手を当てそう思っていると、微かに赤葦と青葉さんの会話が聞こえてきた。

赤葦
 ──ていうか、今日どうだった?
青葉
 ん〜!凄かった!
いつものひょうきんな皆様からは
想像のつかない姿でしたよ

…え?何の話?

赤葦
 それはどうも
お気に召して何より
赤葦
 それに、マネージャー勧誘されてたよね?やるの? 

マネージャー…あぁ、

もしかして青葉さん、体験入部でもしたのかな。それとも見学だけしたとか?それでマネージャーに勧誘されて…え、それなら

2人は付き合ってない?

研磨
 (なん、で…安心してんの…) 

いや、でも、本当は付き合ってて隠しててってこともあるし…これが本当に付き合ってないって証拠にはならないし、けど…

あなた
 え〜、今のところ… 

騒がしい頭に、凛とした声が聞こえてハッとする。
あなた
 ぁ……木葉先輩 

……ん??
赤葦
 …え? 
あなた
 あ、いや〜そのね
木葉先輩のプレーが…その、めちゃくちゃ…グッ!ときて
赤葦
 へぇ… 
研磨
 (…え?) 

つまりそれって、
赤葦
 …ん?好きになったの? 

…だよね。

あなた
 いや、私もそう思ったの
もしかして私木葉先輩に惚れたのかなって
赤葦
 うん 
あなた
 だけど、木葉先輩の顔みたら
いっっきに熱が引いたんだよね

多分、木葉先輩のプレーが好きなだけで
木葉先輩には惚れてないんだと思う

…なにそれ?
と、心の中で思ってしまった。けれど聞こえてくる赤葦の声はそこまで戸惑ってそうでなくて。青葉さんのことを理解しているのか、あまり不思議に思ってる感じはしなかった。

…でも、とりあえず
青葉さんは赤葦と付き合ってなくて、木葉さんのことも好きじゃなくて…

研磨
 (…だから、なんで安心してるの…) 

別に俺には関係ないのに

あなた
 ──よく良く考えれば、木葉先輩って 
私のタイプと真逆なんだよねぇ

そりゃ惚れるわけない!

関係、無いのに…
赤葦
 真逆…てことは、静かな人? 
あなた
 そ〜♪ 大人しくて〜、でも優しくて── 

…やだ
何で、わかんないけど、聞きたくない。

あなた
 それで〜…──!─── 
やめて
それ以上話さないで
あなた
 ──、──! 
研磨
 っ… 

気づけば体が動いていて、

赤葦
 …ねぇ 
あなた
 はぁい? 

2人の声も鮮明に聞こえる距離にいて、
赤葦
 青葉の好きなタイプって、 
もしかして───

(トントン)

あなた
 …?
研磨
 …やっ、ほ。

彼女の肩を叩いていた。

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