露店の並ぶ通りで、焼きたてのパンや果実の甘い香りが漂い、子供たちの笑い声が石畳を弾む。
私は買ったばかりの温かいパンをかじりながら、なんだかんだでこの街の活気を楽しんでいた。
レイの即答に、肩をすくめる。
ため息交じりに返しながらも、レイの口元はわずかに緩んでいた。
やがて、城下町の賑やかな道は途切れ、鳥居が奥に何重もそびえ立つ。
そこを境に、街の空気は一変した。
衛兵の鎧は、城下町のものよりも格段に精緻で、鋭い視線を向けてくる。
レイが懐から通行証を取り出し、淡々と掲げると、兵は一度だけ目を細めて頷き、道を開いた。
鳥居をくぐった瞬間、思わず足を止めた。
そこに広がっていたのは、整然と整えられた和風の大通り。
両脇には大きな木が並び、枝には白や薄桃の桜が咲き誇っている。
川には赤い橋がかかり、桜の花びらが浮く水面は朝日に煌めいている。
並ぶ建物は昔のお城のような構造で、全て彫刻や金細工で飾られていた。
道行く人々は華やかな服装に身を包んでいる。
皆、貴族や兵士なのだろう。
肩を竦めつつも、内心は強張っていた。
強大な力を持つ貴族達が住む街____貴族街。
高くそびえ立つ建物は、私達を圧倒しこれからの任務の重さを物語っているようだった。
すみません、お待たせしました。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!