カラン…グラスの氷が溶ける。静まり返った部屋の中、男はグラスの縁に指の腹を這わせ呟いた
ニコリ、笑顔を浮かべるバーテンダー。男は深く息を吐き、己の前髪をぐしゃりとかき上げる
クスクスと笑いながらバーテンダーが男の前に差し出したツマミは"ジビエ"
男はピクリと眉を潜ませ、皿に手を伸ばす
男は懐から取り出した封筒を机の上に叩き置く。グラスに残った酒を一気に煽り、男は腰を上げた
チリン、鈴の音がなりドアが閉まる。男は携帯を取り出し、コールをかける。1回、2回、3回……コール音が切れる。男は帰路に着きながら、電話口の向こうの相手に声を投げた
一瞬の沈黙…電話口に居る相手は男の言葉を聞き入れ閉ざしていた口を開いた














編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!