僕は窓に目を向けると、もう月が昇っていた
菖蒲sibe
今日の紅は明らかに暗い。
理由はわかっているわ
だって、今日はあの子のーー。
私も会いたいわ、霞
紅sibe
菖蒲姉さんは、本当に心配したような顔をしている。
きっと、僕と一緒にいた時間が一番長いから、僕が考えていることが手に取るようにわかるんだと思う。
梅たちよりも、菖蒲姉さんとのほうが年齢が近いからね
この時代、人はあまり長く生きられない。父さんのことも、母さんのことも、心配なはずなのに。霞が亡くなったときから、姉さんはいつも、僕達家族をすごく心配していた。
僕のことだけで心配かけたくはない。
僕が向かったのは、裏庭だった。
僕は、一人になりたいときここに来るんだ。
でも、今日は花のことを―のことを思い出しちゃいそうで足が止まってしまった。
今日はどうにも、気分が上がらない
僕は梅の頭をなでる
本当にそっくりだなぁ、梅は。
まるでアイツと話しているかのようで、懐かしいような気もする
アイツも、察しが良くて……
誰かの悩み事を聞くときはいつもの明るい、テンションじゃなくなる。
梅は、一人称まで変わってたし
梅の花のように忠実を誓った弟と
千日紅のように謙虚な一面がある兄。
この花言葉が二人を表したような意味なことは、紛れもない偶然である
















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!