前の話
一覧へ
次の話

第116話

# 私を、⬛︎して
222
2026/01/23 11:00 更新

日向創
…橘はどこにいるんだ?あいつにしては珍しく遅いような…

狛枝凪斗
…やあ、皆。もしかして橘さんのこと、話してたかな?


__レストランに入ってきた狛枝は、
相変わらずの笑顔を浮かべて言い放った。

九頭龍冬彦
狛枝…!もしかして橘に何かしたのかよ!?

狛枝凪斗
うーん…何かしてないって言ったら嘘になるけど、
まだ・・殺してないよ

七海千秋
…狛枝くん、橘さんはどこにいるの!?


狛枝凪斗
__さあ?


狛枝は七海の問いに対して肩をすくめる。
そして、こう続けた。

狛枝凪斗
そんなに橘さんが心配?
だったら島中探してみることをお勧めするよ!
狛枝凪斗
彼女、あそこまでボクに強気に出れたんだ…。
まさに希望と呼べるよ!!


狛枝は恍惚とした表情でそう言う。


__その瞬間、俺はぞく、と恐怖が身体中を駆け巡った。
狛枝の目は、今まで見てきた以上に黒く、黒く……


俺たちの事など眼中にない。
もっと別の、何かを見ている。

狛枝凪斗
あは、…っ!

狛枝凪斗
あははははははははっ!

終里赤音
…っ、さっさと吐きやがれ!!

狛枝凪斗
…無理だよ。
監禁なんかしてるんだ、ボクが簡単に教えるとでも?

日向創
終里、そこまでにしておけ…
狛枝、ここに来たって事は何か用事があるんだろ

狛枝凪斗
そうだよ。
ボクはキミたちに何も言わないでこの島を爆破させるなんて…
そんな無慈悲なことはしないからね

終里赤音
てめぇ!

狛枝凪斗
だから、爆弾のヒントを教えてあげる

狛枝凪斗
キミたちが行ったことのない場所だよ

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

橘あなた
__私はどうなっても良いから、
みんなを解放して…!


ライブハウスのステージ上。


誰もいない静かなこの場所は、
自分の声だけが反響して気持ちが悪い。

橘あなた
……違う。
こんな演技じゃ、みんなを騙せない

橘あなた
私…っ、私なんかどうだっていいの!!
みんなを、みんなをもう巻き込まないで!

橘あなた
………これも、違う


私は超高校級の役者なんかじゃない。
だから、こうやって時間ギリギリまで確認をしている。

狛枝凪斗
……橘さん。
もう来てたんだ?


聞き覚えのある声に振り返り、
見慣れた顔に少し安堵する。

橘あなた
うん。
…これが最後の・・・私の出番だからさ、最後くらいは…って

狛枝凪斗
…演技は全部キミに任せる、って言ったけど

狛枝凪斗
…キミの演技に見惚れて、次のセリフ忘れちゃうかもね。
ボクが

橘あなた
…相変わらずの褒め言葉だね、
嬉しいから良いけど

狛枝凪斗
…彼らがここに気づくのも時間の問題かな、
準備しちゃおうか

橘あなた
うん

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

狛枝凪斗
……随分と、遅かったね

狛枝凪斗
…まあ、予想通りってとこかな。
ボクの幸運なら2、3時間は気づかないと思ってたし…

日向創
…橘、狛枝……!


__酷い顔。

絶望と、諦めないという希望がごちゃ混ぜになって、
なんだか不味そうなミックスジュース。

橘あなた
…どうして私を探しに来たの

橘あなた
……私1人なんかの命より、
キミ達6人が生き残ってくれれば私は__


日向創
__そんなの、できるわけないだろ!!


橘あなた
…!

日向創
お前が絶望病にかかった時……!

日向創
俺は、お前が死んでしまうかもしれないって思って!!

日向創
__…俺は、気が気でなかった!!

日向創
俺は、そんな顔の橘あなたを知らない…!!
生きるのを諦めるな!

日向創
お願いだから__……
もうそんな、事を言わないでくれ……


…日向クンはそのまま、
泣き崩れた。



そしてそのまま、ソニアさんや七海さんが私に駆け寄って。
心配する言葉を投げかけてくれる。


九頭龍クンと左右田クン、終里さんは日向クンの様子を見ている。


橘あなた
( __狛枝クンは? )


狛枝クンは彼らの後ろで、
今にも手から溢れ落ちそうな銃を手に、俯いていた。



__そしてそのまま、私に向かってゆっくりと顔を上げて。


諦めたような、吹っ切れたような笑顔で、


狛枝凪斗
( 生き残ってよ )


__そう、口パクで言った。

橘あなた
( ……違う )


橘あなた
( 辞めてよ、……なんで今更そんなこと言うの? )









__私は、キミと死にたいのに。









だから私はフラフラと彼に近寄って、


彼がだらりと下げた、銃を持つ右手を私に突きつけさせた。








橘あなた
__狛枝クン













橘あなた
私を、










橘あなた
殺して?





┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

プリ小説オーディオドラマ