第14話

諦めも肝心?
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2025/11/28 03:05 更新
《 sideあなた 》
(なまえ)
あなた
告白、頑張ってね
なーにが「頑張ってね」だ。

失敗を願っているのに。
隼
頑張る。任せて
覚悟を決めたようにそう言ってふっと笑った隼くん。

本当に告白するんだ。

恐らくその告白は成功する。

視界に隼くんがいるのが辛くて、逃げるように数原さんと中務さんのテーブルに飲み物を運んだ。
(なまえ)
あなた
お待たせしました、カフェオレです
龍友
龍友
お、美味そー!
裕太
裕太
ありがとうございますー
ニコニコしながら受け取ってくれた2人。

私のささくれた心が丸く優しくなったような気がした。

きちんと会釈して、次は佐野さんと関口さんのテーブルへ。
(なまえ)
あなた
アイスコーヒーと、水出し珈琲です
玲於
玲於
あざす
メンディー
メンディー
やった、ありがとうございます
こちらもニコニコしながら受け取ってくれる。

最初はちょっと無愛想な感じがしていた佐野さんも、取材を見ていると案外お喋りだということが分かった。
(なまえ)
あなた
それではごゆっくりどうぞ
そう言ってテーブルを離れようとすると、不意に関口さんの大きな手が私の手首に触れた。
メンディー
メンディー
あの
(なまえ)
あなた
はい、
振り向くと、困ったように眉を下げている関口さんが目に入る。
メンディー
メンディー
あ、いや…
ごめんなさい、なんでもないです
パッと手を離した関口さんが一瞬何か言いかけて、すぐに謝る。

よく分からないけどいいかと思って今度こそ離れようとすると、今度は佐野さんに呼び止められた。
玲於
玲於
あなたさん、
(なまえ)
あなた
あ、はい
玲於
玲於
アイツ、ああ見えてめっちゃ緊張しいだから。
よろしくお願いします
(なまえ)
あなた
え?
いまいち話の流れが掴めない。

私があまりにもバカみたいな顔をしていたのか、佐野さんは苦笑しながらくいっと指をさした。

その先にいるのは隼くん。

白濱さんを挟むようにして片寄さんがその反対側に座っている。

なにやら白濱さんのスマホを3人で覗き込んでいるらしく、くすくすと笑う声が聞こえた。
メンディー
メンディー
告白当日、隼は絶対ここに来ます
佐野さんの言葉を引き継ぐようにして微笑んだ関口さん。

真っ白な歯が素敵な笑顔だ。
メンディー
メンディー
あなたさんのとこに来ますよ
諦めようとしていた私の心臓がドクンと跳ねる。

でも、その“来る”は、あの日と違う。

私目当てじゃない。
玲於
玲於
あなたさんの珈琲、最高です
アイスコーヒーを一口飲んだ佐野さんがそう言って笑った。

うんうん、と関口さんも首を縦に振ってくれる。
(なまえ)
あなた
ありがとうございます。
ぜひ今度は店主の珈琲も飲みに来てください
諦めも肝心、なんて言葉がある。

心底その通りだと思った。

隼くんは、私なんかが憧れていいような人じゃない。

芸能人に恋した一般人が、最終的に幸せに結ばれたなんて聞いたことないし。

好きな人の幸せが私の幸せ。

そう、そのはず。

隼くんがどんな人と結ばれようとも、隼くんが幸せならそれでいいじゃないか。
玲於
玲於
当日、頼みますよ
佐野さんの目尻にくしゃっと皺が寄る。

どこか幼いその笑い方は、隼くんと似ているように思えた。
(なまえ)
あなた
任せてください、
今までで一番美味しい珈琲淹れますから
うんと美味しい珈琲を淹れよう。

隼くんとそのお相手が幸せになるようにと願いを込めて。

ようやく佐野さんと関口さんのテーブルから離れた私は、視界に移る隼くんの笑顔から目を逸すことはなかった。

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