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第3話

第3話「精霊と悪霊」
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2025/09/21 05:32 更新
「精霊」
悪霊の対になる存在だと聞いたことがある。
死後、この世に残りたいという意志が強いとなることがあるらしい、いわゆる幽霊だ。目撃例は両者ともに少ない。
根本は同じだが、この世に残る意志の理由がポジティブだと精霊という扱いになるらしい。
川田新太
実在するんだな
男爵
実はそこそこ数いるぞ?
見えてないだけでな。
川田新太
…俺はなんで見えてるんだ?
男爵
見せてる
川田新太
え?そんな事できんの?
精霊は割と自由自在らしい。




てか見せる意志があるなら隠れんなよ!
なんの時間だったんだよ!
そんな事を考えていた時

男爵はおもむろに葉の羽根、葉根と言うべきだろうか。それを羽ばたかせ飛び上がると、こちらに近づいてきた。
男爵
手伝ってほしいことがあるんジャガ。
大体何でもできてしまう精霊が人間に頼みたいこと。
そんなものあるのだろうか。
川田新太
何?
男爵
悪霊の除霊
川田新太
え?
川田新太
悪霊って…
男爵
悪霊あいつらのやることは人間や生物に悪く影響を与える。
その程度や理由が真っ当な場合は放置しても問題無いんジャガ。
男爵
そうじゃない場合も多々ある。
川田新太
それを退治しろと…
男爵
神様から言われておってな、
川田新太
神っているんだ…てか話せんの?!
というか、さっきから厨二病が好きそうな話が出てき過ぎである。
僕がその類いの人間じゃないのが残念だ。
男爵
少しだけジャ、
神様は忙しいからのぅ。
こんなものに関わっていいのだろうか、悪霊退治なんて危険なんじゃ、そもそも…
川田新太
俺じゃないと駄目なのか?
お前だけでもできるんじゃ…
男爵
無理ジャ、あれは生きている者にしか扱えん。
ジャガ、ワシの力で安全は保証できる。
手伝ってくれるか。
本当は関わるべきじゃない。
そんなことはとっくに理解していた。
でも、このまま夏休みを棒に振るよりかは有意義に思えた。
不安と同時に、未知への好奇心と、これから始まる悪霊退治それに対する高揚感を感じた。


高鳴る鼓動を落ち着かせながら、真剣な表情で僕はこう言った。
川田新太
わかった。
でも、ここにいる夏休みの間だけしか手伝えない
男爵
感謝するぞ我が子孫。
男爵
また明日ここに来い、この場所で待っておる。
僕の「退屈な夏休み」は終わった。










夜が終わり、日が僕らを照らし始めた。

見知ったばかりの精霊が、こちらを見た。
川田新太
おはよう芋ジジイ
男爵
おい今日から上司になるワシに向かって酷いの
男爵
しかし、こんな朝からなんてやる気満々ジャのぅ。早速ジャガ、始めるかの、初仕事。
そう言って男爵は知らない言葉で誰かと話始めた。
川田新太
おい、何して…
その時、目の前が光り始めた。
川田新太
ちょ、説明しろや!おい!
男爵
まったくうるさいのぅ
思ったことがある。

こいつは自分が手伝ってもらう側だという自覚がまるで無い。
そして話し方も癪に触る。
こんなのとしばらくいないといけないのか。
川田新太
…何これ
光が落ち着き、目の前に虫取り網の様な物が現れた。
男爵
天与「悪取り網」
これを悪霊に被せるんジャ
パサっとな
川田新太
ふざけてる?
男爵
ふざけとらん
今の光を見たじゃろ?
川田新太
てか、その天与ってやつ何?
男爵
神から授かった物全般を指す言葉ジャ、取り敢えず持ってみろ。
いわゆる神器的なものだろうか。
なんかかっこいい。
男爵
仕事終わっても持っといていいからの。
前言撤回、とても素晴らしい条件だと思う。
このまま回数を重ねていけば神の道具を集められるんじゃないか?


新太はチョロかった。
男爵
ジャ、いくぞ。
そう言って精霊はすごい速度で飛び出す。
川田新太
え、走ってくの?
やっぱり辞めようかと思った。

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