こんな日々がまた送れると信じていたから。
最後の1秒まで前を向こうって思えたんだ。
どこに行っても、いろんなものが数値化されて人を押しはかられる。そんな人生が嫌で耳を塞いだ。
私はベットで眠る悠真を見る。
命の灯火を消す前に、声を聞かせて。
起きて、私に正しい道を教えて。
ねえ、悠真。こっちみてよ。最高の味方が映ってるでしょ?
私が見れたらもう大丈夫だよね。
たとえ明日世界が滅んでも、私は最後まで悠真のそばにいるんだから…。
最後まで前を向こう。
ねえねえ、知ってた?和樹。何かを作る過程で一番難しいのははじめ。そして一番大切なのもはじめなんだよ。
でも肝心な部分が見えないんだよなぁ。
悠真がいたら…。あの時の私は幸せだと気づかなかった。あの時はどれだけ幸せだったことか。
世界のどこかで毎日人が生まれ、死ぬ。次は悠真の番だと思うと怖かった。
でも、怯えてばかりじゃ何も始まらない。立ち上がって行動しないといけないんだ。
深い、深い泥沼もかきわければ、綺麗な花の咲くところに出れるだろうから。
私は悠真の手を握る。微かに温もりが伝わってくる。これは私が唯一わかる悠真が生きてるって証拠。
綺麗事って言われたっていい。
これから先も、君に幸あれ。
悠真がなかなか起きないので、私は悠真が好きだった歌を流すことにした。
まずはロック系。
あ、あいつアカペラで歌うのも好きだったなあ。
よく食べてよく眠ってよく遊んでよく学んでよく喋ってよく喧嘩して。そんなごく普通な毎日が欲しいんだ…。
私たちで言ったらどんなのが似合うんだろうね?
私は悠真が好きだ。幼馴染以上に大好き。だからこそ生きていて欲しいんだ。
泣けなくても笑えなくても、歌えなくても何もなくても、愛せなくても愛されなくてもそれでも生きて欲しい…!
もし、明日世界が滅んでも、最後の1秒まで前を向こう!
もしかしたら悠真が振り向くかも!もしかしたら宝くじ当たるかも!そして…再び始まるかも。
生き抜くためなら、
私の人生を棒に振っても、水を差しても、煙に捲いてもどこかで油を売っても、現をぬかしてるっていわれても大丈夫!
そして来週も来月も来年も来世も一緒に祝おう!
綺麗事だと言われたって構わない!
ここに集えた奇跡に感謝します…!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。