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第2話

第一章
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2025/12/07 01:06 更新
一節──十四歳ノ誕生日──
アレン~ルシフェニア王国内「天国庭園ヘブンリーヤード」にて~
アレン
うわ、もうおやつの時間だ
教会の鐘が三回鳴った
僕らは今夜行われる舞踏会に向けて掃除をしている
シャルテット
はぁ、

シャルテット
あ~~~!疲れたっス!
ねぇアレン、もう後は適当にそこらへんを掃き掃除にして終わりじゃ駄目ッスか?
アレン
そういうわけにもいかないだろ
まだ大噴水の周りも手付かずだし
シャルテット
そんなもん多少汚れていてもだれないッスよ
舞踏会は夜にやるんだし
アレン
でもね
今日はリリアンヌ様の御生誕をお祝いしてのことだぞ
もしバレたら大変だぞ
シャルテットは男より力仕事が得意
だから、細かい仕事だと物を壊してしまう
シャルテット
あっ!アレン、大変ッス!
やばいッス!
アレン
何?
また噴水でも壊した?
シャルテット
またとはなんスか!
まだ噴水は壊したことないッス!
ちょっとヒビを入れちゃったことはあるッスけど
アレン
……
シャルテット
じゃないッス!
シャルテット
もう三時なんスけど、今日のリリアンヌ様のおやつ当番アレンじゃなかったッスか?
行かないとやばいッスよ
アレン
それならネイに代わってもらったよ
ネイも僕やシャルテットと同じように使用人の一人だ
ネイは仕事だけなら僕らよりよっぽどそつなくこなすし、リリアンヌを起こらせることはない
レオンハルト
よ~~~~~う、頑張ってるかい?ガキんちょども
レオンハルト
召使いっていうのも中々大変そうだな、アレン
アレン
親衛隊長の職務ほどではありませんよ
レオンハルト殿
レオンハルト
は~~~よそよそしいねぇ
一緒に住んでた時みたいに『父さん』って呼んでもらって構わないんだぜ?
アレン
そういうわけにもいかないでしょう
レオンハルトは僕の養父だ
シャルテット
レオンさ~~~~ん
今日は何しに来たんスか?
レオンハルト
何って…、舞踏会の警備に決まってるだろ
シャルテット
なんだ~~~~~~
また貯蔵庫の酒を漁りに来たかと思ったッス
レオンハルト
そんなことやったことねぇよ!
第一、ここ最近は酒を断っている
シャルテット
ほえ?
あの酒好きのレオンさんが禁酒ッスか?
何でまた?
レオンハルト
折から不作による食糧不足がいよいよ深刻でな
民はみんな飢えに苦しんでいる
王族の親衛隊長が贅沢するわけにもいくまい
シャルテット
その言葉、王族や貴族たちも聞かせてやりたいッス
アレン
最近リリアンヌ様のご機嫌が悪いのはやはりそれが原因ですか?
レオンハルト
まぁな
食糧不足とはいっても王宮にはまだ貯えが結構ある
それを民にわけてやれればいいんだが…
レオンハルト
リリアンヌ様もミニス殿も中々首を縦に振ってくれなくてな
シャルテット
あの王女様に忠言できるのはレオンハルトさんだけッスね
ジェルメイヌ
挙句の果てにあの王女様何て言ったと思う?
『パンがなければおやつを食べればいいじゃない』だぜ
シャルテット
リリアンヌ様はおやつが大好きッスから
レオンハルト
そういう問題じゃなくてな…‥
王女様はモノの価値でてのがわかっていないんだよ
レオンハルト
民衆の日々の食卓に並ぶ食事が、自分の愛馬に与えられる餌より遥かに貧相だってことを知らないんだ
自分の周りしか見えちゃいないのさあの箱入り娘は
ジェルメイヌ
リリアンヌ様も十三歳─今日で十四歳になられるのか
国政にかかわるはまだ幼いとはいえ民衆のことをもっと考えられるべきだ

レオンハルト
さて……ところでだ
レオンハルト
ここに来る前に馬小屋に寄ったんだが……
今リリアンヌ様はお出かけ中なのか?
アレン
そんははずは……ないと思いますが
まさか誕生パーティーが行われる日に王宮を出ることなど……
レオンハルト
そうか…だがな、小屋にいなかったぞ
ジョセフィーヌ
ジョセフィーヌというのは、リリアンヌお気に入りの馬の名前だ
アレン
まさか、盗まれたとか?
レオンハルト
ありえないな
今日は警備も一段と厳しくなっている
そう簡単に王宮の侵入など…
アレン
侵入者への警備を強くしている分…脱走者に十分な注意を払えてない
なんてことは?
レオンハルト
おいおい、まさか
その時、王宮内から叫び声が聞こえた
あれは…ネイの声だ!
ネイ
リリアンヌ様~~~!どこに行かれたのですか!リリアンヌ様~~~!
アレン
ネイ、リリアンヌ様がどうかしたの?
ネイが涙半分で答える
ネイ
アレン……どうしよう……‥
リリアンヌ様いなくなっちゃった

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