元気よく名乗るその姿に、さっきまで絡まれていた怯えは微塵もない。
ンダホの声が屋上に響いた。あまりの声量に、シルクの肩がびくりと跳ね上がる。
ンダホは苦笑しながら続ける。
偶然。それとも、巡り合わせ。すると、ンダホが何かを思い出したように、懐を探り始める。
そう言って、取り出したのは黄色の鍵だった。
シルクは、ゆっくりと頷いた。兄の日記。鍵。街を巡る意味。すべてが、少しずつ繋がっていく。
その目は、まっすぐだった。恐れよりも、好奇心と決意が勝っている。
ンダホの顔が、ぱっと明るくなる。
二人で旅をすると決めてから、まず向かったのは、黄色の街の冒険者ギルドだった。情報の共有はもちろん、そして何より正式にパーティーを組むためだ。受付で名前を書き込む途中、何気ない雑談が始まった。
話は一気に広がった。川に落ちたこと。濡れたまま怒られたこと。受付の紙を前に、二人は顔を見合わせた。
その後、二人は街のレストランに入った。
湯気の立つ皿が運ばれてくる。あまりの美味しさに、二人とも無言で食べ始めた。一息ついたところで、話題は次の目的地へ移る。
その時、ンダホが鞄から紙束を取り出した。
地図の一角。黄色の街から、少し離れた港町。
食事を終え、二人はそのまま街を後にした。港町へ向かう道中。街道を外れた森で、中級モンスターが現れた。
剣を抜くシルク。その後ろで、ンダホが構える。
そう言いながらも、ンダホの詠唱は迷いがない。自然魔法が地面を走り、敵の動きを止める。シルクが踏み込み、一気に距離を詰める。
シルクの一撃がモンスターの核を突き、モンスターは消滅した。
自然魔法の威力。的確なコントロール。判断の速さ。正直、今の自分が一番欲しい補助要員だ。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!