第30話

心の内(なか)
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2024/12/08 11:36 更新
あなたの一人称は、みんなに今まであったことを全部説明した。

みんな、真面目に聞いてくれた。


おそ松兄さんも、

カラ松兄さんも、

チョロ松兄さんも、

一松兄さんも、

十四松兄さんも、

トド松兄さんも。


ずっと、ずっと、熱心になってくれて。


本当の、“現実”の世界のこと。

その世界の家族、兄弟のこと。

そこで、どんな生活をしてきたか。

馬鹿らしくなってしまった。

『みんなのため』だなんて、全部建前だったって。

自分に言い聞かせてただけだなんて。

全部、自分のため。

じゃあ結局、コロしたい理由ってなんだったんだって。

実際は、薬の副作用でもうここにいられない、なんて。
とっくの前に分かってたことだった。

副作用は大きなものだった。
日に日に、“現実”の身体の痛みが。不安定なものが。
こちらの世界で、感じるようになっていった。


それは副作用だけではなく、効き目もある。

効き目が弱くなっていたんだ。

だから、“自分をコロした”んだ。
(なまえ)
あなた
だから……、だから、消えたくて……。
(なまえ)
あなた
何も無い場所に、どこでもないところに…
(なまえ)
あなた
そんなところに行きたくて……それで………。
六つ子
六つ子
『…………。』

みんなには、重たすぎたのかも知れない。

突然、全てを話してしまったから。
少しずつ、話せば良かったのに。
あなたの一人称は、思わず目を閉じてしまった。
そうしたら、自然と何かが溢れてきた。


ギュッ))
(なまえ)
あなた
………。
おそ松
おそ松
ごめんな……気づいてやれなくて………。
カラ松
カラ松
あなたの下の名前は、知らない場所で、
カラ松
カラ松
辛い思いをしてたんだな……。
チョロ松
チョロ松
もう大丈夫だから、安心して…。
十四松
十四松
ここにいるから、大丈夫だよ……!!
トド松
トド松
あなたの下の名前ちゃん、辛かったね……。
一松
一松
あなたの下の名前。
(なまえ)
あなた
っ………。
一松
一松
……話してくれて、ありがとう。
(なまえ)
あなた
………っ…ごめんねっ……ごめん…っ。
(なまえ)
あなた
ごめん……なさっ………。
(なまえ)
あなた
……ぁああッ…………うわぁあっ…。

兄さん達はもっと、強く抱き締めてくれた。

ぎゅっと、強く。

あなたの一人称よりもひと回り大きい身体で、暖かい腕で。


それに安心して、あなたの一人称は泣き出してしまった。

大きな声で、子供のように。


身体だけ育った“子供”。

あなたの一人称は、気づいていない間になっていたのだろうか。
心だけが育たなかった、“子供”に。

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