インターハイが近づいてきた頃。
明らかにてるちゃんの様子がおかしくなった。
表情豊かだったてるちゃんが、まるで何かを隠すように、ずっと笑顔。
どうかした?
って聞きたかった。
だけど、なぜか言葉に出てこない。
学校でなにかあったのかな。友だちと喧嘩って、まずくない?大丈夫かな。部活ってどうなってるんだろう。
…........もしかして、原因は僕だったりするのかな。なにか悪いことしたっけ。申し訳ない。嫌われちゃったらどうしょう。仲直りしたほうがいいよね。でも原因は…?
いろんな疑問が頭の中を駆け巡る。
なのに、どうして言葉に出てこないんだろう。
どの言葉も、喉の奥まで出かけるけど、口の中で消えてゆく。
きっと、直接聞くのが怖いんだなって思った。
ようやく、心の底から、嬉しそうに笑ってくれた。
まるで、真冬に春がやってきたように、僕の心が温まってきたのを感じた。
...そうだ。どこか、心の距離を感じるんだ。
今までみたいに、ずっと一緒にいるわけじゃないから、変な距離感ができてしまったのかもしれない。
昔みたいに...なんでも気軽に相談できないのかもしれない。
そんなことにも気づかないなんて…
てるちゃんが心配で死にそう。
なんて言えなくて、
結局、隠し事の内容は聞くことができなかった。











編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!