第5話

五話
25
2026/03/16 02:46 更新
インターハイが近づいてきた頃。
明らかにてるちゃんの様子がおかしくなった。
てると
最近、ばぁうくんと喧嘩しちゃってさー...
表情豊かだったてるちゃんが、まるで何かを隠すように、ずっと笑顔。
まひと
てるちゃん....。
どうかした?
って聞きたかった。
だけど、なぜか言葉に出てこない。
学校でなにかあったのかな。友だちと喧嘩って、まずくない?大丈夫かな。部活ってどうなってるんだろう。
…........もしかして、原因は僕だったりするのかな。なにか悪いことしたっけ。申し訳ない。嫌われちゃったらどうしょう。仲直りしたほうがいいよね。でも原因は…?
いろんな疑問が頭の中を駆け巡る。
なのに、どうして言葉に出てこないんだろう。
どの言葉も、喉の奥まで出かけるけど、口の中で消えてゆく。
きっと、直接聞くのが怖いんだなって思った。
てると
今日も先生に褒められたんだ。学校初の新記録を出したんだって。
まひと
さすがてるちゃんだな!僕もてるちゃんが走ってる姿、見たい。
てると
ッ!
今度見せてあげる!
ようやく、心の底から、嬉しそうに笑ってくれた。
まるで、真冬に春がやってきたように、僕の心が温まってきたのを感じた。
...そうだ。どこか、心の距離を感じるんだ。
今までみたいに、ずっと一緒にいるわけじゃないから、変な距離感ができてしまったのかもしれない。
昔みたいに...なんでも気軽に相談できないのかもしれない。
そんなことにも気づかないなんて…
まひと
僕、ダメダメだなぁ。
てると
ん?なんか言った?
まひと
ううん、なんでもない。
てると
そういえば、まひちゃんの方は?
調子はどう?
まひと
僕は…
てるちゃんが心配で死にそう。
なんて言えなくて、
 
結局、隠し事の内容は聞くことができなかった。

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