私にとっては敵がヒーローで。
ヒーローの方が敵でした。
そして正義を讃える世間は悪で。
私達もまた悪なのだ。
爆豪が目覚める数刻前。
それまでバーのカウンターに置かれたチェスのコマをひとりで動かしていたアヤシがそう呟く。
それをじいっと見ていたトガがそれに問いかける。
カウンターに座りながら話を聞いていたMr.コンプレスに返事をしながらアヤシがコトリとコマを動かし、未だ眠る爆豪に顔を向ける。
隠された表情はどんな色だろうか。
その瞳には何が映っているのだろうか。
アヤシが動かしていたチェスのコマはいつの間にか黒のナイトが白のキングを追い詰めていた。
キングに逃げ場はない。
その言葉が示すのはこの盤の上か、それとも…
ー
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チッとアヤシが舌打ちする。
先程から流れっぱなしの記者会見。
死柄木の手が飛ばされた事。
爆豪の言動。
世間や雄英の言葉。
それらが重なってアヤシの機嫌は最悪だった。
ギロリとテレビを睨みつける。
ー
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ハハハハ!と爆豪が笑いながらクイッと掌を動かす。
連合は動けない。
なぜなら爆豪が「利用価値のある重要人物」だから。そして爆豪の「心」に取り入ろうとする以上殺せない。
それぞれが爆豪に思う事を言う。
クッと爆豪が掌を上げた。
黙ったままの死柄木の視線にあるのは…“手”。
焦るように黒霧がモヤを伸ばす。
“手”を拾い上げて顔に着け直す死柄木。
昔から彼を知っているアヤシと黒霧の空気が揺らぐ。
今までの死柄木ならばすぐに壊そうとしただろう。
ザザッと、画面にノイズが走った。
ちゃぷがき
おまけ 曲パロイラスト















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!