昨晩寝た時刻、23時。現在時刻は7時。
8時間も睡眠したというのにまだ足りないらしい。
抱きついてくる腕を外しながら私はどう起こそうかと考えた。
…………声掛けだけでいいかな。起きなかったらギリギリに強制的に起こしますか。
一応目は開いていて、でも多分まだ眠いのだろう。
表情がどこかうとうとしているように見える。
瞼がまだ重いのか、瞬きがゆっくりしていて、その普段ぱっちり開いた瞳は半開き。
そして寝癖でぴょこんと跳ねている毛。
飾らずに言うと可愛いの化身にしか見えない。
漫画なら「ふへへ〜」とか「えへへ〜」とかってありそうな表情もグッド。
外したはずの腕がまた抱きついてきた。拘束力を強化して。
これじゃ私まで動けない。彼は朝御飯を時間がなく食べないときが多いが私は朝御飯をしっかり食べたい派なのだ。ごはんタイムを消されてはたまらない。
腕の拘束を外してすぐに動く?
でも拘束を外そうとするほどに力が強まっていく。
起こすしかないようね。
私のことを抱きしめながら少しジタバタしてるこの寝坊助を。
駄々っ子ねぇ。
とりあえずこの音声残しておけば後悔して後からこんなことしなくなるかな?
まぁ残しておいて損はないな、可愛いし。
このさ、普段こんな真似しないのに寝起きだけ抱きついてくるの可愛いじゃん?
私は誰に向かって言い訳をしてるのだろうか。
あと抱きつきながら顔をすりすりしてくるのを一旦やめろ、くすぐったい。
スマホの画面を見せる。
そこには録音中という文字があった。
画面を見るためかわからないがこちらに移動する彼。
顔をすりすりとしつつ、全身で甘えてくる。かわちぃ。こんなこと普段は絶対しないから余計かわちぃ。あとすりすりする時に「好き……」って言ってくれたのもまた良い。私も好きだぞ。
思考能力が低下してるらしい。
こりゃ駄目だ。
こんな姿、人様には見せられねぇ。絶対攫われるって。
…………ほ、ほんのちょっとだけ頭を撫でよう。
今度はやってくれるらしい。こくりと頷きながら返事をしているのもよき。
洗面所に連れていって顔洗えばまぁ意識が覚めるでしょう。
それにしたってどこまでも甘えてくるなぁ。私は背中と手に違和感を覚えつつ移動することになったぞ。
いいけども。ただ時々私の頭に頬ですりすりしてますけどやめていただけますか悲しくなるので。
お、ついた。
ロボットのように動き始めた。
いや、幽鬼のよう、と言った方が正しいかもしれない。
自分で顔にかけた水に少しビビってるの、可愛いと思うんですよ。
顔を洗わせた結果、今目の前で土下座中。
さっきまでの所業が恥ずかしくなっちゃったのかなぁ〜〜?
かわええ(脳死)
これだから見捨てられないんだよなぁ。
最後の大好きだけ小声だったけどしっかりと聞こえたのだろう。
顔を赤くしてあたふたしている。
愛おしいねぇ。本当に可愛い。純情可憐な青年と言えるんじゃないか?
顔を真っ赤にしながら、目が泳ぎ、アワアワしながら色々なことを口走る彼にそう思った











編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。