「晩ご飯どうすっかな?一応テントの冷蔵庫に一通り食材は揃ってるみたいだけど…俺、料理はあまりしないんだよな……」
[ピピッ—テント使用者の要望を確認しました。キッチンAIを起動します]
何処からか声が聞こえると、キッチンから物音がした。
「なんだ?」
陸は気になって見に行くと、何故かロボットが動いて料理をしていた。
[自動で料理をお作りします。メニューは、チトセ茸のナムル、ボア肉のガーリックステーキ、ユーレ草風味のコーンスープ、堅焼きパンです]
「わ、わかった。頼む」
ロボットの動きは見ていて飽きがなく、とても安定していた。
30分もすると、完成したのか、[主様《マスター》、料理をお取りください]とアナウンスしてきた。
ボア肉のガーリックステーキは陸の指示でウェルダンの焼き加減に仕上げられ、チトセ茸のナムルは舞茸のような見た目のきのこで、食べれば寿命が千年延びる、という伝説があるが、実際はそんなことは無い。ユーレ草のスープはほうれん草のスープの様な見た目だった。堅焼きパンは、そっくりそのままフランスパンだった。
ボア肉のガーリックステーキはしっかり焼いたのだが、パサパサすることなくしっとりジューシーで、溢れる肉汁が食欲をそそり、チトセ茸のナムルは塩気も効いていて、とても米に合いそうな味だった。ユーレ草のスープはほんのり苦いユーレ草と甘いコーンスープがマッチし、苦味と甘味でハーモニーを奏でていた。
「美味かったよ。また頼むかもな」
陸はAIに一声かけ、労った。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!