_土曜日、買い物行きたいんだけど誰か付き合ってくれない?
_バニラ いくよ
_しすこ いく
_ありさか 俺も
即レス既読で暇なんかこいつらと思いつつ、そんなにいらんと返す。限りなくメンタルが弱くなった日に起こる突然の行動力には自分でも感動する。どこに行こうか、何を買おうか、迷っている時間が楽しいのだ。嫌なことを考えなくて済むから。
ねぇ、お父さん。黄色の花が好きなのはお母さんだよ。お母さんが黄色が好きだから私は黄色が苦手になったんだよ。
なんて、吐いても聞いて貰えないかな。
++
土曜日、最寄り駅の近くである人らを待っていた。
「おはよー、ごめん待った?」
『ううん、時間通り。しすとありさかは?』
「シスコは知らん、ありさかはもう少ししたら来るんじゃない?」
2人が遅れるとは珍しいなと思いつつ、バニと話をする。今日何を買うのかとか、ここのランチが美味しそうだとか、そんなどうでもいいことを話していると息を切らしながら走ってくる人影が見えた。
『おはよう、シス』
「あー…おはよ…はぁ…」
「朝から走って何があったん」
「野暮用」
『寝坊の間違いじゃなくて?』
「違うわ!!」
桃色のふわふわとした天然パーマは寝癖かセットか分からないほど崩れている。それでも見た目がいいのは顔がいいからだろうな。
「あ、ありさか集合場所間違えてるわ」
『あれ、そうなの』
「行き先の方に先行っちゃってるらしい。じゃあ電車乗るか」
『そうしよっか』
まだ肩で息をしているシスを引っ張りながら駅の中へと入る。朝は人でごった返しているホームも休みの中途半端な時間では人がまばらに居るだけだった。電車の停車音がホームに響き、そのまま電車に揺られていった。
「お父さん、帰ってきてるんでしょ?大丈夫なん?そこらへん」
『大丈夫。家に居ても何もしないし』
「そっか」
ご飯は作ってきてないが死なないだろう。それより今は買い物を楽しむ、それだけ考えていればいい。
+
数分電車に揺られていると目的地の停車駅に着く。少し田舎から様変わりした都会へと足を踏み入れる瞬間はいつまで経っても慣れない。
『えーっと、ありさかは?』
「スタバの前…あ、あれじゃね?」
一際目立つオレンジ色の髪に高身長な姿は紛れもなくありさかその人だ。…周りにいる女の人を除けば。
『ありさか逆ナンされてない?』
「おもしろ、助ける?」
「どう対応するか見たくね?」
_早く来いよお前ら












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!