第14話

12 潜行
812
2025/12/26 23:00 更新
??side

夜7時ごろ


昨日の任務の報告書を出した帰り、
寮の共用スペースの前を通りかかったとき、ソファに見慣れた後ろ姿があった。
……糸師先輩?
声をかけても、反応はない。


あなた
……💤💤

不思議に思って近づくと、どうやら寝ているらしかった。


ソファにもたれかかるように座っていて、首が少し傾いている。


テレビはつけっぱなしで、音量だけがやけに小さい。
(こんなところで寝るタイプだったか……?)

一瞬、起こすべきか迷う。
だがこのままじゃ、さすがに風邪を引きそうだ。


小さく息をついて、そっと肩に手を伸ばす。
糸師先輩
軽く揺らすと、糸師先輩の眉がわずかに動いた。
あなた
……ん
それだけで、目は開かない。
思っていた以上に、深く眠っているようだった。
(任務続き、って言ってたな……)
もう一度肩を揺らしてみたが、やはり起きる気配はない。
……

起こすのを諦めてテレビの電源を切ると共用スペースは一気に静まり返った。


周囲を見回し、誰もいないことを確認してから、棚に置いてあったブランケットを一枚取る。
……失礼します
小さく呟いて、あなたの肩にそっとかける。
するとあなたは無意識のまま、それを引き寄せた。
あなた
……あったかい……
……
(起きては……いない、か)
少しだけ様子を見てから、踵を返す。
(起きたら、ちゃんと部屋に戻るだろ)

そう思って、その場を離れようとしたときーー
あなた
……がとう
糸師先輩に何かを言われて、思わず足を止めて、振り返る。
あなた
……ありがとう
目は閉じたまま、かすれた声。
寝言のはずなのに、その一言だけは妙にはっきりしていた。
……どういたしまして
それだけ言うと、一度だけブランケットを見てから、静かに共用スペースを出た。

プリ小説オーディオドラマ