正直、行きたいかと言われれば喉から手が出るほど、
憧れだったお父さんに近づくことができる。
けれど…もし「行きたい」って言ったら…
やっと仲良くなった友達を失うのかな。
ーその日。
結果、私は調査団に行くことが決まった。
お母さんは「お友達に挨拶しに行かないの?」なんて言ったけど…
怖かった。なんとなく…だけど
イヌホになんて言われるか分かんなくて、
調査団に入る…という選択。
お父さんにとっては嬉しかったみたいで、
お父さんは【ワシボン】ってポケモンをくれた。
ワシボンはボールには入ってないみたいで、
代わりに冷たく頑丈な檻に入ってた。
数日前まで群れの喧嘩に巻き込まれて怪我してたみたい…
その雰囲気がどことなく、私に似てた。
足の事…交友関係……そして今にも逃げ出したくなってる目。
案外ワシボンは私と気が合うのかもね。笑
風が私たちを嘲笑うかのように横を通る。
肌寒い冬の夜。新たな出会いをして、
私は重たい瞼を閉じた。
ー翌日ー
お昼頃
イヌホの事…まだ全然知れてないのにな
遠くから声がする…私が今1番会いたい人の声。
走ってきたのだろうか、肩で息をするイヌホ。
イヌホは頬に滴を乗せて言った。
風で木の葉が空に舞う。心地の良い音が…私の耳に届く。
答えは私にとって必然ではないかもしれない。それでも
ポケモンについて教えてくれた
足が走れるようになるまでずっと見てくれてた
初めて同い年の子と話せたのが…君だったんだよ
ー思い出が頭の中で映像のように映し出されていく。
今君がどこに居るのか。視界がぼやけてよく見えないけど
今初めて 君を抱きしめた 強く ぎゅっと
一緒に泣いた昼下がり その時多少警戒してたワシボンも
私とイヌホを慰めてくれたみたいで、その時初めて
私の肩に乗った感覚が今でも忘れられない
…はっきりとした寒さを感じる朝
確か、あそこを出たのもこれくらいの季節か…
けど私は絶対諦めない
会えて奇跡なんて言わせない。
あの日一緒に泣いて約束した事を。
今日もまた…空の下で、私は巡り合う友と一緒に
この世界を駆け巡る
ラゼリア過去編『翼無き鳥は空を夢見る』完結













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!