第81話

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2025/08/31 04:03 更新
灰谷 蘭
俺はお前を諦める
だからお前も二度と
この世界に戻ってくるな
その言葉に私は固まった。
彼は何をしたがってるの?
全く答えが見えてこない…
(なまえ)
あなた
戻ってくるな…って何で?
私、え?何で…
灰谷 蘭
それがお前を守る最後の手段だからだ
(なまえ)
あなた
守るって何から!
思わず大声を出しても
蘭は変わらず落ち着いた様子で答える
灰谷 蘭
お前自身からだ。
初めてここへ来た時より
確実に物忘れ増えただろ
(なまえ)
あなた
そ、それは…でも誤差の範囲よ!
灰谷 蘭
誤差?なら三ツ谷を弟だと
それすら忘れてたのはどう言い訳する?
俺を思い出せなかったことは?
(なまえ)
あなた
ッ!!!
けど…

確かに変なのは私も感じてた。初めの違和感は柴八戒を忘れていた事…あの頃から少しづつ記憶の混乱が始まってた。けど、蘭を思い出せなくなるなんて…
灰谷 蘭
お前が初めて弁当作ってくれた日
俺はあの日、お前の異常に気付いた
(なまえ)
あなた
手を振り払ったこと?
あれは…何でもないの
蘭、ご飯美味しいって
食べれるって褒めてくれて…
私、私嬉しかった
灰谷 蘭
あぁ、なのにお前は俺の手を振り払った
(なまえ)
あなた
ッ…
灰谷 蘭
それから暫く調べる内に
サウスがある話を持ってきた
(なまえ)
あなた
…サウス?
力で負かされてたんじゃないの?
灰谷 蘭
いや、俺はアイツが持ってる
情報を欲しかったんだ
だから俺から近づいた
(なまえ)
あなた
ッ…じゃあクリスマスの日
私を振ったのは?
灰谷 蘭
それは、ああするしか無かったからだ
(なまえ)
あなた
ああするしか…って
意味分からない、ちゃんと言って
灰谷 蘭
お前も知っての通り
サウスは龍宮寺や三ツ谷
昔の東卍創設メンバーを欲しがった
そんなサウスは
俺の持ち掛けた話に
条件としてお前を差し出す事を言われた
(なまえ)
あなた
私がサウスの元に居れば
自然とマイキーたちは
サウスと顔合わせする事になる
灰谷 蘭
あぁそうだ。
戻ってきたばかりだしな
騒ぎは出来るだけ
最小限にしたかったらしい
(なまえ)
あなた
その、蘭が持ちかけた話って?
灰谷 蘭
転生者の行く末をアイツは知ってた
だから俺は仲間に加わる代わりに
それを知ろうとした
(なまえ)
あなた
ッ!だけどサウスは満足しなかった
教える代わりに、私を連れて来いって?
灰谷 蘭
あぁ、それを避ける為には
(なまえ)
あなた
私を盛大に突き放して
三ツ谷やドラケンを
動かすしか無かった…
灰谷 蘭
ん。その案に奴も乗った
そしてマイキー達が動いて
俺は情報を手に入れた。
(なまえ)
あなた
ッ…
嫌われて居なかった安堵と同時に、私は唇を噛み締めた。すると蘭は細く長い指先で、私の唇をそっと撫でる。
灰谷 蘭
話してやれなくて悪かったな
(なまえ)
あなた
…大丈夫
けどその情報って何?
なんで私、ここに居ちゃダメなの?
私…蘭と居たいよ
灰谷 蘭
あなたの下の名前…
(なまえ)
あなた
だって蘭が言ったのよ?
一緒にやり直したいって…
私だって蘭とやり直したい
灰谷 蘭
向こうにも俺は居るだろ
(なまえ)
あなた
ッそうだけど…蘭じゃない
頑張ってくれたし、私も頑張ったけど
やっぱり貴方じゃないと…
灰谷 蘭
まだ10代だろ?
長くかかると思うけが
その世界の俺もお前を愛せるって
俺が保証してやる
不器用な癖に生意気だけど
お前の事は誰よりも
よく知っておきたいはずだ
(なまえ)
あなた
ッ…やめてよ
何でお別れみたいな…
託すみたいな言い方するの?
サウスに聞いた話って何なの?
灰谷 蘭
お前がこのままここに居れば
お前自身が消えて無くなるって事だ
(なまえ)
あなた
きえ…る?
灰谷 蘭
この世界は現実にある
けど、お前は違う世界の人間だ。
夢でしかこの世界に入れない
そんなお前の身体は衰え
いずれ死ぬ…
お前の記憶の混乱は
その前兆とも言える
(なまえ)
あなた
ッ…

確かに蘭の事すら分からなかったのは異常だ
けど…それでも…私は…
灰谷 蘭
そばに居たいんだろ?
なら生きてくれ
(なまえ)
あなた
蘭…そんな…
灰谷 蘭
お前のその身体はお前を拒絶し始めてる
自分が三ツ谷だって忘れてた事ないか?
俺は、お前がこの世界に来たがらない
その理由が欲しかった。
(なまえ)
あなた
だから突き放し続けた…
ヤダ…嫌だよそんなの…
だって…私、ねぇ蘭…
灰谷 蘭
泣くなよあなたの下の名前…
今度の世界は平和なんだろ?
俺の為にもさ
ガキの俺を見守ってやって?
そんでそこで今度こそ幸せになれ

そう言って笑う蘭なのに、私の方は涙が止まらない
(なまえ)
あなた
蘭…いや、蘭が居ないなら
…居ないなら私、死んでもいい
灰谷 蘭
…世界のどこかで生きてる
それだけで満足しよう
そう思えるのに何ヶ月も掛かった
お互い、独りじゃねぇ
会えねぇってだけでちゃんと生きてる
そう思える日がお前にもきっと来る
(なまえ)
あなた
……っぅ、やだ、いやだ
ねぇ考え直そ?
別の方法が…なにか
灰谷 蘭
…あなたの下の名前。
俺がお前を拒めば
お前はこの世界に入れないんだ
(なまえ)
あなた
なんでっ!
灰谷 蘭
ここは俺が願った世界だからだ
会いたいと思う気持ちが一通だけじゃ
世界を渡るのは不可能なんだとよ
な?少し意識薄れて来ただろ?

蘭ら私のおでこを掴むように手を添え、少し切な気な表情を見せた。名残惜しそうな彼の顔に、私はまだ交渉する余地があると期待してしまう。けれど、彼の掌から感じる体温は、私の意識を薄らと遠ざけていく。
(なまえ)
あなた
…やだ。何で…
意味わかんないわよこんな…
灰谷 蘭
弁当も上達して完璧に慣れたじゃん♡
だから最後に、お前のアホみたいな
笑い顔見せてみろよ
(なまえ)
あなた
笑うって…こんな時に…
灰谷 蘭
ん〜、だよな
なら名前呼んで
俺、お前に呼ばれんの好き

そう言って私を抱き寄せた蘭。
これが最後のハグなんて嫌だ…
(なまえ)
あなた
ッ…蘭。
蘭、蘭…やだ離れたくない
ここに居たいよ蘭
灰谷 蘭
ありがとな
(なまえ)
あなた
蘭が居ないと…
灰谷 蘭
お前なら大丈夫だ
また会えて本当に楽しかったぜ
じゃあなあなたの下の名前
(なまえ)
あなた
ねェ蘭!待って!!
頭をくしゃっと撫でて背を向けた蘭。行かないで…と手を伸ばしたくても、何故か全身の力は抜けてその場に倒れてしまう。私に生きてもらうため、夫々の道、守る為…頭で理解しても、私はやはり彼と居たかった。消えてもいい、こんな別れをするくらいなら…いっそ消えてしまいたかった。


ねぇ蘭…お願い戻って来て。

私…まだにお礼も言えてない…

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