その言葉に私は固まった。
彼は何をしたがってるの?
全く答えが見えてこない…
思わず大声を出しても
蘭は変わらず落ち着いた様子で答える
確かに変なのは私も感じてた。初めの違和感は柴八戒を忘れていた事…あの頃から少しづつ記憶の混乱が始まってた。けど、蘭を思い出せなくなるなんて…
嫌われて居なかった安堵と同時に、私は唇を噛み締めた。すると蘭は細く長い指先で、私の唇をそっと撫でる。
確かに蘭の事すら分からなかったのは異常だ
けど…それでも…私は…
そう言って笑う蘭なのに、私の方は涙が止まらない
蘭ら私のおでこを掴むように手を添え、少し切な気な表情を見せた。名残惜しそうな彼の顔に、私はまだ交渉する余地があると期待してしまう。けれど、彼の掌から感じる体温は、私の意識を薄らと遠ざけていく。
そう言って私を抱き寄せた蘭。
これが最後のハグなんて嫌だ…
頭をくしゃっと撫でて背を向けた蘭。行かないで…と手を伸ばしたくても、何故か全身の力は抜けてその場に倒れてしまう。私に生きてもらうため、夫々の道、守る為…頭で理解しても、私はやはり彼と居たかった。消えてもいい、こんな別れをするくらいなら…いっそ消えてしまいたかった。
ねぇ蘭…お願い戻って来て。
私…まだにお礼も言えてない…













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!