体育館の隅で、あなたはホワイトボードとにらめっこしていた。
練習メニューのチェック、備品の確認――ひとつひとつを丁寧にこなす姿に、"高橋藍"がふらっと近づいてくる。
目を見て褒めるあなた。頬がほんのり赤くなっていた。
照れたように笑う藍。その言葉に、あなたの顔はますます赤く染まっていく。
(そんなに、赤かったかな、)
表情が少し緩み、余韻で笑ってしまう、
背後からひやりとした声が届いた。振り返ると、小川がすぐそこに立っていた。
そっぽを向いて、ボトルの水を飲む小川の耳は、ほんのり赤い。
嫉妬を誤魔化すように、わざとトゲのある言い方をする彼に、あなたは困惑しつつも思わず微笑んだ。
けれど、小川は何も答えなかった。
無表情。沈黙。
ただ、スマホをいじる指が止まったまま、視線を外の夜空に向けていた。
私は慌てて誤魔化すように笑って言葉を重ねた。
声は静か。でもその一言一言に棘があって、ぞくりと背筋が震える。
彼の瞳は真っ直ぐで、少し怖いくらいに真剣で、私の事を見つめていた、
近い、距離が、
くすっとバカにしたように笑ってくる
この、毒舌王子がっ!!












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!