一人一人に与えられた部屋。
壁を見つめてシミの形が何に見えるかという
遊びに熱中していると、
扉が叩かれているのに気がついた。
扉を開けると、意外な人物が立っていた。
気まずい、全く喋らない。
それどころか俯いたまま、目を合わせてくれない。
やばい、無理無理死ぬ...ッ、
これやばいって、死ぬパターンじゃん、
待って、、無理帰りたい。
怖い、死ぬの怖い。怖い怖い怖い怖い怖い...ッッ
帰りたい...帰りたい帰りたい...ッ、
家に......帰り...............
早朝。
蛍はベッドの上で仰向けに横たわっていた。
腹部には血のシミが広がっている。
問答無用で光士郎は服を捲る。
光士郎は言葉を発しなかった。
ただその場に立ち尽くし、
冷たい視線で全員を順番に見つめた。
権兵衛が否定するよりも前に、
風雅がキッパリと否定した。
隣の一言でしーんと静まり返った。
そして、ひと呼吸おいて光士郎は権兵衛に尋ねる。
そのまま、権兵衛は静かに部屋へと戻って行った。
その後の屋敷の探索にも顔を出さなかった。
灯りの落ちた施設内。
廊下は凍りついたように静まり返っている。
誰もが眠れずに布団の中で息を潜めていた。
いつ殺されるか分からないような
恐怖と隣合わせだった。
...ガタ
何かが動く音がした。
誰かが、部屋の外を通る。
そして、誰かの短い叫び声が聞こえた。
扉を蹴破るように光士郎は飛び出した。
駆け寄った先、
壁に寄りかかる権兵衛がいた。
息を荒くして、刺されたと思われる腕を
ぐっと掴んで止血している。
光士郎は唇を噛み、
静かに視線を落とした。





















編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!