水side
突如シェアハウスに響いたないちゃんの大声に、
僕は思わず声をあげた。
旅行って、そんな唐突な…
…と、兄貴がしょうちゃんを膝にのせて抱きしめたまま、片手を挙げる。
ちなみにしょうちゃんはというと、
微動だもせずに本のページをめくっていた。
もうすでに真っ赤になっているいふくんと、
兄貴に耳を塞がれているしょうちゃんのためにも、
慌ててりうちゃんの口を塞いだ。
ゆ、油断ならない…!!
ってか、そもそもまだ決定してもないからね!?
勝手に盛り上がる暖色組を
ジト目で見つめてみる。
そう即答するないちゃん。
明日って…いやいやいや!
さすがに無理でしょ!?
僕の気持ちを代弁してくれたいふくんの声を遮るようにして、
大声でそう言うないちゃん。
どうやら彼の意志は固いらしい。
渋々、妥協案を出してみる。
やっぱりこうなるんじゃんっ……!!
まあ、OKしちゃう僕も僕だけど……
ひとまず、リビング全体を見渡して声をかける。
相も変わらず下ネタを連発してくるりうちゃんをべちっと叩く。
もう下ネタ変換機レベルじゃん。
小学生男子かよ。
テンションがバグりすぎている赤組に頭を抱えていると、
救世主から声がかかった。
やっぱり、困ったときに頼れるのは双子の大親友らしい。
いむしょー最強!!
そう言って抱き着いてきている兄貴を、
ぐい、と押し返しているしょうちゃん。
つくづく思うけど、みんな本当に表とのギャップがすごいよね…
そんなことを思いながら、
ぐい、と伸びをする。
聞こえてきた声に横を向くと、
白黒組の真似をしてか、
いふくんにぴとりとくっついているりうちゃんがいた。
あの仲の良さ?は、
お互いの裏の顔を知っていた時間の長さによるものなのかどうか……
胸の奥がちくりと痛む。
諭すようにぽんぽんと頭を軽く叩くと、
ないちゃんはぐわっと目を見開いた。
どうやら、
りうちゃんといふくんがくっついているのが
よっぽど嫌だったらしい。
手を離すと、さっそく2人の間に割り込んでいる。
今度はないちゃんに甘えだすりうちゃんに、
胸の奥のもやもやが少しとれる、
けど———
しょうちゃんが差し出してきた一枚の紙を手に取る。
そこには、整った文字で、
ある程度の旅行プランが書き出されていた。
ないちゃんに褒められてか、
兄貴に抱きしめられてか、
心なしか頬を赤く染めるしょうちゃん。
かわいいなあ、なんて声をかけるけど、
うるさい、と言われてしまった。
そして、荷造りを始めた僕ら6人。
相変わらず騒がしくて、
僕はというとツッコミに追われてばかり。
…でも。
みんなが楽しそうにしてるのを見ると、
こんなドタバタも悪くないな…とか、思ってしまうのだ。
———そして、翌朝。
ないちゃんの「起きろぉぉぉぉ!!」という絶叫と共に、
波乱の旅行初日が幕を開けた———
書き溜めが無くなった為
不定期更新になる可能性が高いです












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。