第12話

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2026/01/15 12:00 更新
水side
旅行!行きたい!!
なにごと!?
突如シェアハウスに響いたないちゃんの大声に、
僕は思わず声をあげた。

旅行って、そんな唐突な…
え、旅行!?ええやん!賛成賛成~!
…と、兄貴がしょうちゃんを膝にのせて抱きしめたまま、片手を挙げる。

ちなみにしょうちゃんはというと、
微動だもせずに本のページをめくっていた。
よっしゃぁ~!旅行!温泉!誰のが一番大きいかっ…
ストップりうちゃん!!
もうすでに真っ赤になっているいふくんと、
兄貴に耳を塞がれているしょうちゃんのためにも、
慌ててりうちゃんの口を塞いだ。

ゆ、油断ならない…!!
ってか、そもそもまだ決定してもないからね!?

勝手に盛り上がる暖色組を
ジト目で見つめてみる。
でっ、でも…それって、いつ行くん…?
ん~…明日!
明日ぁ!?
そう即答するないちゃん。

明日って…いやいやいや!
さすがに無理でしょ!?
そ…それはさすがに無理だとおも…
あーしーた!!
僕の気持ちを代弁してくれたいふくんの声を遮るようにして、
大声でそう言うないちゃん。

どうやら彼の意志は固いらしい。

渋々、妥協案を出してみる。
…なら、ないちゃん計画立ててよね?
あ、そこはほとけっちで
やっぱりこうなるんじゃんっ……!!
まあ、OKしちゃう僕も僕だけど……

ひとまず、リビング全体を見渡して声をかける。
そういってもちょっとはみんな手伝ってくれるよね?
さすがに1人じゃキツいし…
え、ほとけっち…手伝うって、ナニを…??
ナニをもなにもあるか、計画立てるのをだよ
りうらはたてるなら計画よりちん…あでっ!
相も変わらず下ネタを連発してくるりうちゃんをべちっと叩く。

もう下ネタ変換機レベルじゃん。
小学生男子かよ。
なら僕手伝うで、計画
しょうちゃんっ!いいの!?
テンションがバグりすぎている赤組に頭を抱えていると、
救世主から声がかかった。

やっぱり、困ったときに頼れるのは双子の大親友らしい。

いむしょー最強!!
え、初兎がやるんなら俺もやる!!
…悠くんはまともちゃうから
なんで~!?
そう言って抱き着いてきている兄貴を、
ぐい、と押し返しているしょうちゃん。

つくづく思うけど、みんな本当に表とのギャップがすごいよね…

そんなことを思いながら、
ぐい、と伸びをする。
…白黒組、仲ええなぁっ…
カップルの距離感ってやつだよね~
ひっ、り、りうら!?近っ…!
聞こえてきた声に横を向くと、
白黒組の真似をしてか、
いふくんにぴとりとくっついているりうちゃんがいた。

あの仲の良さ?は、
お互いの裏の顔を知っていた時間の長さによるものなのかどうか……

胸の奥がちくりと痛む。
……
…ないちゃん、そんな顔しないのー。
いふくんが怖がっちゃうでしょ?
だ、だってぴよまろが~っ!!
諭すようにぽんぽんと頭を軽く叩くと、
ないちゃんはぐわっと目を見開いた。

どうやら、
りうちゃんといふくんがくっついているのが
よっぽど嫌だったらしい。

手を離すと、さっそく2人の間に割り込んでいる。

今度はないちゃんに甘えだすりうちゃんに、
胸の奥のもやもやが少しとれる、

けど———
このままじゃ、旅行どころか計画すら立てられないよっ…!
…いむくん、これ
へっ?
しょうちゃんが差し出してきた一枚の紙を手に取る。

そこには、整った文字で、
ある程度の旅行プランが書き出されていた。
…えっ、これ、もうできてるじゃん!
言うたやん、手伝うって。
それに、ほっといたらカオスになるの目に見えとるし
え、まじ!?しょうちゃん天才っ!大好き!
…俺のやからな?
わかってるって!
ないちゃんに褒められてか、
兄貴に抱きしめられてか、
心なしか頬を赤く染めるしょうちゃん。

かわいいなあ、なんて声をかけるけど、
うるさい、と言われてしまった。
よっしゃぁ決まり!明日出発だ~っ!!
そして、荷造りを始めた僕ら6人。

相変わらず騒がしくて、
僕はというとツッコミに追われてばかり。

…でも。

みんなが楽しそうにしてるのを見ると、
こんなドタバタも悪くないな…とか、思ってしまうのだ。

———そして、翌朝。

ないちゃんの「起きろぉぉぉぉ!!」という絶叫と共に、
波乱の旅行初日が幕を開けた———
書き溜めが無くなった為
不定期更新になる可能性が高いです

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