ㅤㅤ「ㅤㅤ一方通行の恋'sㅤㅤ」
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西山ㅤside
ラリーさんの全てが俺であればいいのに。
ラリーさんは冷静沈着な彼を好きになった。
お笑い芸人しかいないこのチームだが、1人だけそういうのに我関せずと1歩引いている人がいる。
西川さんだ。
いつも真顔かと思えば特定の人に見せてくれる笑顔。
意外と人前でラリーとコントをするくらい度胸もある。
急に駆り出されてもきっちりやりきる仕事人。涼しい顔して難しいメニューを難なくこなしている。
その余裕さも、俺には足りないだろう。
正直に言えば、西川さんの全てが羨ましい。俺にもあんな風になりたかった。俺も西川さんのようで有れば、ラリーさんに好かれたのだろうか。
時々そう考える。
西川さんも、ラリーさんも悪いわけじゃないのに。
西川さんと話すラリーさんな心底楽しそうで。同期の絆を感じる。
俺には見せない表情。ずっと見てきたからわかる。
西川さんのことを考えるだけで自分との差が浮き彫りになる。
彼が悪いわけじゃない。実際、彼には沢山のことを学んだ。チームメイトとして。
それでも、筋が通ってないことだけど、大好きなんだ、ラリーさんのことが。
きっと西川さんにも敵わない、きっとラリーさんへのこの恋も叶わない。
ポツリと呟く。
きっともう叶わない。
せめてもう少し近い性格の人を好きになってくれれば良かったのにな。
「本当に、叶わないよ。」













編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!