第8話

8話 カッターシャツ
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2025/10/24 10:37 更新
あれから数日が経過、木像は完成し、あとは現地で組み立て作業をするだけだった。
先生の車に各々が木像のパーツを積んでいく作業中、
日向の服にペンキが落ちた。余ったペンキを倉庫にしまおうと運んでいた賑やかな集団が飛ばしたものだった。
黄色と赤の混ざりかけの色。
マーブル模様に日向の体操服にベッタリと着いた。
小鳥遊  日向
小鳥遊 日向
えっ……
海老子  月那
海老子 月那
日向……大丈夫?
小鳥遊  日向
小鳥遊 日向
え待ってどうしよ、私制服今日は持ってきてないし体操服もこれしかないのに……
最悪なことにこの日はこの作業と部活以外はなかったので日向等クラスの大半は着替えを持ち合わせていなかった。
海老子  月那
海老子 月那
え待って私も持ってないし、制服の子はいないし……
小鳥遊  日向
小鳥遊 日向
私、他に服ないか見に行ってくる
そう言って日向は重い足で教室へ向かう。









1回廊下、2年のクラスが並ぶ中日向は残っていた紘輝と目が合う。
小鳥遊  日向
小鳥遊 日向
え、紘輝くん
榎元  紘輝
榎元 紘輝
どうしたの、日向さん……ってえ
最初は日向に話しかけに行ったが日向の姿を見て紘輝は驚いた。
服にペンキがべっとりと付いていて垂れないように持ち上げていた。
小鳥遊  日向
小鳥遊 日向
ペンキ落とされちゃって着替えないかなぁ〜って
榎元  紘輝
榎元 紘輝
制服持ってきてなかったよね……
紘輝はテニス部を辞め文芸部に入っていたため今日は制服で来ていた。
小鳥遊  日向
小鳥遊 日向
うん、だから着替えなくて
日向がそう言うと紘輝は自分の来ていたカッターシャツを手渡した。
榎元  紘輝
榎元 紘輝
ごめん、キモイかな……嫌なら着なくてもいいし全然
榎元  紘輝
榎元 紘輝
でも流石にこのままいく訳にはいかないでしょ?
榎元  紘輝
榎元 紘輝
名前も書いてないから分からないと思うし今日はあんまり着てないから清潔な、はずだよ
小鳥遊  日向
小鳥遊 日向
いやでも……
榎元  紘輝
榎元 紘輝
体操服中に僕来てるから
小鳥遊  日向
小鳥遊 日向
……ありがとう
日向は遠慮がちに答えカッターシャツを受け取るとそのまま着替えにトイレに入った。
その間紘輝は酷く混乱した。
榎元  紘輝
榎元 紘輝
(なんでカッターシャツなんて渡したんだろやっちゃったキモイと思われてないかな……)
彼女からの評価を気にすると同時に自分の服を好きな子が着る背徳感もあった。



逆に日向は
小鳥遊  日向
小鳥遊 日向
(え、あ良かったのかなぁ……私なんかに着られたら迷惑じゃないかなぁ)
と自己嫌悪に苛まれると同時に脈拍が異様に高くなる。
でもそれはきっとこの部屋が暑いからと言い聞かせた。



変に勘違いしないようにと。
そのまま体操服を脱ぎカッターシャツを来て紘輝の所まで歩く。
小鳥遊  日向
小鳥遊 日向
ごめんお待たせ。
日向は少し鏡で前髪と触覚を整え万全の体制で紘輝の前に現れた。
榎元  紘輝
榎元 紘輝
もう大丈夫?僕は先に出るね
一緒にクラスメイト達の前に現れないのはカッターシャツが誰のものかを隠し、彼女がからかわれないようにする紘輝の最低限の配慮だった。
小鳥遊  日向
小鳥遊 日向
……あ、ありがとう
日向は恥ずかしくて顔も合わせられなかった。
榎元  紘輝
榎元 紘輝
……僕が好きでしただけだよ。
保健室での言葉をそっくりそのまま返された。
日向はこれが恋ではないと必死になった。













でもやっぱりこれは不可抗力だろう。








紘輝が好きだと実感せざるをえなかった。

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