あなたside
あなた『えっと..あ、しのぶちゃんの方は?一応一緒だけどさ、任務自体は別々だったわけじゃん。私はちょっと怪我したけど倒せたよ!』
包帯で手当した手の甲をしのぶちゃんに見せて、決め顔ガッツポーズする。
久しぶりの遠方任務。ちゃんと倒せて嬉しい。
しのぶ「ふふ、私も難なく熟せました」
あなた『同期なのに先越された感じ...』
しのぶ「ふふんッ」
くそぉ、、
しのぶ「あなたさん、ちなみにその傷は鬼からの傷じゃないでしょう?」
あなた『ん~、まぁね。ちょっとかばった時にやっちゃった』
しのぶ「傷は痛みますか?一度見せてください」
あなた『ううん、大丈夫!ありがと』
しのぶ「帰ったらちゃんと洗ってくださいね?絶対ですよ?化膿してからうちに来ても、誰も見ませんよ?ね?」
怖い(
あなた『は、はい...ちゃんとします、』
しのぶ「でしたら私も眠いですし、着くまで眠りましょう」
あなた『うん。..おやすみ』
ガタンガタンと揺れている車内で、お互いに目を瞑り、私は再び夢の中へ落ちていった。
しのぶ「あなたさん、起きてください。着きましたよ!」
あなた『ん....おぉ..』
しのぶちゃんに両肩を揺らされて起きる。
ぶんぶん振られて頭が背もたれに当たる。
すんごい、もう、普通に痛い。
あなた『んん...しのぶちゃん、痛いっ...ぁ..なんか、いい匂い...くぁぁ..』
大きく伸びとあくびをしながら喋る。
しのぶ「ほら行きますよ!」
ガシっと腕を引っ張られて立ち上がると、前の席から刀を持って、足早に列車を降りた。
あなた『しのぶちゃん、ありがとう』
しのぶ「いえいえ。屋敷に戻ったらちゃんと寝るんですよ」
あなた『うん』
人通り多くなった駅のホームを、人の間を縫って抜け、駅前広場に出た。
今日は何も仕事はないから、まっすぐ家に帰ったら思いっきりだらけよう。
しのぶ「それでは、私はここで」
あなた『お薬買いに行くの?』
しのぶ「はい。街に出ることは少ないので買っていこうかと思いまして」
あなた『そっか。じゃあまた今度ね!』
しのぶ「はい!さようなら~」
手を振り合って分かれ、駅と逆の方へ歩いて向かった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!