今日は近くにできた新しいパン屋さんでパンを買って気分がるんるんしてます。
紙袋の中からでも香ばしいいい匂いが漂ってきて、家に帰る足が早足になる。
冷める前に食べないと!
すると、頭に雫が落ちてきたと思うと、あっという間にシャワーのような雨に変わって近くのお花屋さんの屋根に雨宿りすることにした。
あぁ〜あ、せっかくのパンが冷めちゃう……
パンを守ろうとして服はビショビショだし…
もうここで立って食べようかな?
そこには花屋から出てきたるぅとくんがいた。
するとるぅとくんはポケットからハンカチを取り出して私の頭を拭いてくれた。
距離が近くなって心臓がドキドキする。
私はるぅとくんの傘に入って、家まで送ってもらうことにした。
傘に入っているので、お互いの肩がたまにぶつかるくらい近い。私は全部傘に入っていて、濡れずにすんでいるけど、るぅとくんは外側の肩は雨に濡れているに違いない。
多分嘘。傘にキレイに大人ふたりが入りきれるわけない。
もう少し、この時間が続いてほしい。
少し、歩幅を小さくして歩くと、るぅとくんは何も言わずにそれに合わせてくれる。
そんなさり気ない優しさが好き。
でも、すぐ私のマンションの前に着いてしまった。
パンはとっくに冷めていたけど、
私の心は温かいままだった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。