お母さんがベールを下ろしてくれた。
そして、お父さんの腕を組んで、入場する。
とても緊張した。
バージンロードの先には少しあどけない表情のるぅとくんが待っていた。
バージンロードを歩き終わってるぅとくんの正面に立つ。
まずは指輪の交換をした。
るぅとくんは手先が震えていてなかなか指輪をはめることができなかった。
会場からはクスクスという笑い声が聞こえた。
ようやっと、私の指に指輪をはめてくれて、次は私がるぅとくんに指輪をはめる。
そして、次は誓いをたてる。
神父「病めるときも、健やかなるときも、二人が死を分かつまで愛し合うことを誓いますか?」
神父「それでは、誓いのキスを」
るぅとくんがベールをめくってくれて、るぅとくんの顔がよく見えた。これ以上ないほど緊張してそうだ。
るぅとくんは覚悟を決めたように、私の瞳をじっと見つめた。そして、
チュッ
その瞬間、拍手が巻き起こった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!