第32話

手強い
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2023/07/03 15:34
テイルside

『うん、分かってるよㅎ』

『ちゃんとバレないように頑張ってるってば…』

『時間が出来たら近いうちに会いに行くね』

事務室の扉の前に立つ僕。

ノックしようとした手は、行く宛を失っている。

どうしたものか。盗み聞きをするつもりは無かったのだけれど。

彼女は電話をしているらしい。

僕たちの前では絶対に出さないような楽しそうな声で話している。

電話相手が誰か分からないから、何とも言えないけれど、

これって結構やばい状況?

なんだか聞いてはいけない話な気がする。

あなたちゃんてもしかして…本当は彼氏いる?

いや、そんなわけない。

だって本人がいないって否定してたし…。

……まさか、めちゃくちゃ悪い女だったとか?

彼氏がいながらも、居ないと言ってるとか?

…ダメだ。悪い考えが頭を支配している。

そもそも、あの子はホスト嫌いなんだから!

それに、彼氏だとしたら会話の内容に少し違和感があるし。

だから彼氏ではなさそう。

……ん?待てよ、ホスト嫌いならなんでここに?

あぁ、ダメだ。振り出しに戻った。

 『テイルさん、彼女が居るって本当ですか?』

TI「随分と突然だね…」

『今日…噂が耳に入りまして…』

TI「えっと、答えから言うといるよ」

TI「ちなみにクンもいるけどね」

『え…そうだったんですか…』

『あの、彼女さんは怒らないんですか?』

『ホストなんかやって…』

なんかって…。まぁ…いいけど。

TI「あ~、その話なんだけど」

TI「ちょうど話したいことがあって」

そう。彼女の電話内容を聞いてしまったのも、この話をしたかったからだ。

TI「彼女とはNCTで出会ったから、」

TI「ここで働くのも理解してくれている反面」

TI「それこそ、女の子との出会いも尽きないから」

TI「不安になってるみたいで…」

『……なるほど』

TI「だから、彼女のために辞めようかなって」

『……え?』

TI「この仕事を」

『…辞める?』

TI「うん」

『そ、そんな簡単に決めちゃっていいんですか?』

TI「…う~ん」

TI「確かに職を無くすのは心配だけど」

TI「彼女と別れるのに比べれば難しい選択じゃないんだ」

『随分と惚れ込んでるんですね』

TI「そりゃあね」

TI「彼女とは結婚を前提に付き合ってるから」

『…わぁ』

ついこぼれ出たような声を出したあなた。

TI「魅力的な女性なんだよ…」

TI「僕が結婚したいって思うぐらいにね」

『凄いですね…』

『私もそんな人に出会えますかね?』

TI「あなたなら大丈夫でしょ」

だって、現に君に惚れ込んでいる人たちが山程いるからね。

とは言えないけれど。

TI「意外と近くにいるもんだよ…こういうのは」

僕の大切な弟たちの誰かをあなたになら任せられる。

だから、さりげなく弟たちを匂わせるのは許してね。

『………そんなもんなんですかね?ㅎ』

え…明らかに誰かを思い浮かべたような間があったけど?

誰なの?え…誰なの?

思い当たる人がいたの?

『取り敢えず、話は理解しました』

『ジャニさんと相談しておきますね』

TI「え…あ…うん」

そう言って去ってしまった彼女。

そうだった。あなたってこういう子だった。

だから弟たちが悩んでいるんだもんな。

手強い相手だな…頑張れ。弟たちよ。










どうも。作者です。

やった~!1話書き終わった~!

テイルさんをリクエストしてくださった方。

こんなに遅れてしまって申し訳ございません。

想像していた形とは違ったとは思いますがご了承下さい。

テイルさん難しかった~!!

いや~、それより…私は皆さんに感動しております。

まさかほとんどの方がこの作品を待っていてくださるだなんて。(アンケートのことです)

皆さんの期待に応えられるように頑張りますね。

では…次はいつになるか分かりませんが、

またの機会に。



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