第7話

モヤモヤ
66
2023/02/12 07:48
 あれから俺も教室へ戻り、席に座った。

 何も聞いてない、大丈夫、いつも通り……
茜 秋汰
茜 秋汰
なぁなぁ、三ツ矢さんに呼び出されたん、何やったん?
津村 魁
津村 魁
……別に、なんも……
茜 秋汰
茜 秋汰
絶対嘘やん、告白されたん?
津村 魁
津村 魁
違う……
 どれだけ濁しても、秋汰はしつこく問いかけてくる。
 そんなに質問攻めされても、何も答えたくない。
 つーか、何がそんなに気になるんだよ……

津村 魁
津村 魁
告白だったら……どーなんだよ
茜 秋汰
茜 秋汰
……いや、それはさ。嫌やん……
 秋汰は気まずそうに目を逸らしながらそう言った。
 嫌って……何でだよ……


 ” でもさ、茜くんも津村くんのこと好きだと思うよ?”

 さっきの女子の言葉が脳内に響き渡る。


 コイツが俺の事好き……?
 告白されたのを気にするのも、嫌だったって言うのも……それが理由ってこと?
津村 魁
津村 魁
…………
茜 秋汰
茜 秋汰
ちょ、何黙り込んでんねん
津村 魁
津村 魁
なぁ、お前ってマジで好きな人いねぇの?
茜 秋汰
茜 秋汰
……へ?! な、なんなん? いきなり!
 目に見えるレベルの慌てっぷり。
 そして、なんか視線を感じてそこを見ると、さっきの女子が笑顔で頷いている。

 ……はぁ、マジでどーすればいいんだよ。

茜 秋汰
茜 秋汰
お、おらんよ……?
津村 魁
津村 魁
……はいはい
 仮に、コイツの好きな人がマジで俺だったとして、今ここで気持ちを告白されても……なんて言えばいいか分かんねぇ。

 もちろん付き合うなんて考えは毛ほどもない。けど……バッサリ断ってしまうのも、可哀想な気もする。

 いつもキラキラした目で俺に話しかけてきて、ベタベタ引っ付いてくる。それは全然嫌じゃない。

 でも……かと言って付き合えるか? って聞かれたらそうじゃない。


 そしてこの話は、先生が入ってきてホームルームが始まったことによって、終わってしまった。

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