ラウールside
転校生が来たって聞いて、俺は特に気にもとめなかった。
たくさんの人間がいる中で、名前をいちいち覚えてられない。
少なくとも、俺の記憶にはその名前も、顔もなかった。
昼休み。
ふと顔を上げたら、向こうの廊下を歩く“雪野”って子と目が合った。
ーーー妙に冷たい視線。
それなのに、なぜか胸がチクリと痛む。
でも、思い出せない。
それどころか、そもそも“関わった記憶”すらない。
佐久間が、そんな話を振ってきた。
紅一点?
ああ、そんなのいたかも。
でも…誰だっけ
名前は…顔は…?
みんなもきっと、忘れたふりをしてるだけだ。
だって思い出すには、都合が悪すぎる過去だから。
でも、今の“雪野”は、あの頃の彼女とはまるで別人だ。
自信に満ちていて、誰のことも見ていないような、そんな目をしている。
それでも、目が離せない。
引き寄せられる。
知りたくなる。
…誰だったんだ、あの子は?
第7話終
これが、無自覚な加害者ってやつですね、なける












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。