別に本気でそんなだいそれたことを考えていたわけじゃなかった
みんなが盛り上がるかなって思って言っただけで
なのに
途端にユナとジウが冷やかすような含み笑いで私を見た
別にこんなのただのノリじゃん
ユナだってカレシ持ちなのに毎日ジョンハンくんのことを見て「かっこいい〜」って言ってるし
それに
急にひょっこり顔を出したのは、噂の本人だった
ユナにはニヤニヤ冷やかされ、ほかの女子にも生あたたかな目で微笑まれたチョラは、居心地が悪そうに明るい茶色の髪をなびかせて、その時、すぐ側に座っていた私をちらりと見た
うっすらと赤くなった頬。髪を触る仕草に紛れ込ませるように送られた視線。そこに含まれた自分へのサインを受け取って、私は目を大きくした
チョラの大きな手が伸びて、私の頭をツンとつついた
それからついでのような__一生懸命「ついで」を装おうとしたような手つきで、くしゃっと私の髪をかき混ぜる
そういいながら背を向けたちょらの耳は、真っ赤だった
すべすべの手の甲で顎を支えながら、少し唇をとがらせてジウは言った
あれ、というふうにジウは、席に戻って近くの男子と談笑しているチョラを目で示した
チョラは、中学からの友達だ。最初に話した時から凄く気が合って、すぐに仲良くなった。いつからだろう。こっちを見るチョラの視線や、何気ない仕草に含まれるようになったサイン。言葉にはされない、でも気づいて欲しいというふうに送られるサイン
チョラの気持ちはわかっているといえばわかっているし、私もチョラのことはすごく大切に思っている
でも……好き?
え__
好き?これが?
ドン引きのユナと苦笑いするジウの声に続くように、授業開始のチャイムが鳴った
あちらこちらにちらばっていた生徒が自分の席に戻っていく
私もびっくりしながら自分の席に戻った
__そうか、そうだったのか
これが好きってことなのか
私ってばいつの間にか、チョラに恋してたのか
チョラの気持ちは知っているし、私もチョラに恋をしているなら__「あんたたち相思相愛でしょ」__うん、確かにジウの言ったとおりだ
てことはそのうち私、チョラと付き合うのかな
チョラを見つめて想像してみる
まだ男の子と付き合ったことは無いから何をするのかよく分からないけど、例えば放課後、チョラと一緒に帰ったり?休みの日は一緒にどこかへ出かけたり?こまめにメールを送ったり送られたり?……ほほぉ
窓の外のグラウンドには体育の授業を受ける一学年の男子生徒たちがいた
そしてちょうど私からよく見える場所に、ジョンハンくんが立っていたのだ
あはは、ダルそ〜
どんなにぎやかな場所で見かけてもジョンハンくんはいつもクールな表情で、そんなジョンハンくんを皆ひそかに「クール番長」と呼んでいるだけあって私はジョンハンくんの笑った顔を見たことがない
なんか冷たそうな人、と私は思ったことがあるが実際、冷たい人なのかもしれない
自分を好きだと言ってくれる女の子を何人もフッて、でもそれに心を痛めているようには見えないから
あの人、笑うことってあるのかな
いかにも冷静でなんにも動揺しなさそうに見えるから、彼の笑顔は上手く想像できない
でも、もし笑ったら__ジョンハンくんはどんなふうなんだろう














編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。