さっきの場所にようやくたどり着く。
絵名はボクに聞こえるように叫ぶ。
一瞬、ふたりとも黙り込む。
その時、近くの鉄柱が倒れた。
そうだ。
ボクが持っていたから、絵名は帰れなかったんだ。
手を繋ぐために絵名の方を見た。
その時
鉄柱が
倒れてくる。
ボクは決心した。
絵名の方に走ると、思いっきり付き飛ばした。
…生暖かい何かを感じる。
多分、ボクの血だ。
ああ、ボク、ここで死ぬんだな。
絵名の叫び声が聞こえる。
絵名は必死にボクを揺さぶっているのだろう。
ボクは小さく呟いた。
絵名をこんな目に遭わせたのはボクだから。
こんなことになったのも、ボクだから。
全て、ボクが悪いから。
ねえ、絵名早く帰って。
ボクのスマホを使って、絵名だけでも…
何で逃げないの…?
何で絵名のせいなの…?
ボクが悪いのに。
ごめんね、絵名。
全てボクの所為。
ボクは、意識を手放した。












編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!