朝、耳を劈くベルの音で起きた。
いつもよりも10分ほど早めに設定した目覚まし時計は、床に転がったまま鳴り響いていて、自分自身も又、床に転がっている。
まだ寝ぼけていた脳みそは、時計の針を見て覚醒する。
目覚まし時計に設定した時刻からとうに20分ほど過ぎていた。
クローゼットから取り出したハンガーにかけてあるのは、まだ一度も袖を通していない真新しい制服。
急いで着替え、寝癖を直しワックスで仕上げをする。
部屋の中の姿見で自分の身なりが整っていることを確認し、スクールバッグと片手に荷物を持って下の階に降りる。
荷物は一旦玄関へ。
リビングへ戻り、その中の一角へ向かう。
そこにあるのは、3年前に死んだ母の遊希理華の仏壇だ。
線香をあげ、手を合わせ、今は亡き母の遺影に話しかける。
部屋の電気は消えているか、コンロの火は全て消えているかなど、最低限の確認をし、靴を履いて玄関に置いた荷物を持って家を出る。
鍵を占めるのはもちろん忘れない。
学校へ向かうには電車を使う必要がある。
家から学校まで走っていくのはまず無理だ。
歩くのなんてもってのほか。
片手に持っている荷物は、自転車の籠には入らない。
そうなればするべきは唯一つ。
そう呟いて駅まで走る。
片手の荷物が重いため、いつものようなスピードは出ないがそれでも歩くよりマシだ。
改札を通り、ホームについたとき、既に電車は来ていた。
だが駅に着いたばかりらしく、発車までになんとか乗ることができた。
ギリギリセーフだ。
電車が発射するのと同時に、いきなり告げられた言葉にびっくりした俺は思いっきりバランスを崩してしまった。
竣とは小学校の頃からの仲だ。
中学校も3年間一緒で、今日から同じ高校に通うことになる。
いきなりの質問だが、もちろん図星だ。
俺は冗談めかしてそう返す
高校生になってまでそんなことできるか!
と心のなかでツッコみながら。
そうアナウンスが入った。
木口駅は俺たちの高校の最寄り駅だ。
そう軽口を叩きながら、開いた電車のドアから一歩踏み出した。












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。